約4割の世帯収支が赤字/連合総研調査

(2010年4月30日 調査・解析部)

[労使]

約4割の勤労者世帯で過去1年間の世帯収支が赤字だった――こんな調査結果が連合のシンクタンクである連合総研(薦田隆成所長)の「第19回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」(速報)で明らかになった。赤字の割合を07年10月調査の結果と比較すると、2倍弱ほど赤字世帯が増加。約7割の世帯が日頃の生活で「支出を控えている」と回答している。調査は、勤労者の生活改善に向けた検討のための基礎的データ収集を目的として、2001年以来、毎年4月と10月に実施しているもの。首都圏、関西圏の10都府県に住む勤労者900人を対象に調査し、573人の回答を得ている。

非正社員の世帯収支の厳しさが浮き彫りに

調査によると、過去1年間の世帯支出について、38.7%の人が「赤字」と回答。「赤字」の割合は、「黒字」(30.7%)を8ポイント上回り、調査開始以来、過去最高となった。07年10月調査の結果(22.0%)と比べると、16.7ポイント増とほぼ2倍の割合となっている。世帯収入の別でみると、400万円未満世帯では、60.4%が「赤字」だとしており、「黒字」は11.9%と約1割にとどまっている。性別・雇用形態別でみると、男性・正社員、女性・正社員の「赤字」がそれぞれ37.3%、25.4%なのに対して、男性・非正社員では「赤字」が62.9%と過半数、女性・非正社員で46.4%と半数近くに達しており、非正社員の世帯家計の厳しさが浮き彫りになっている。

厳しい家計から、70.2%の世帯が日頃の生活での「支出を控えている」と回答。具体的な生活苦の経験を聞いた問いでは、男性・非正社員で、「税金や社会保険料を支払えなかった」(31.4%)、「食事の回数を減らした」(20.0%)、「医者にかかれなかった」(17.1%)などと答える割合が多かった。

過半数が5年後の賃金について悲観的

5年後の自分の賃金については、「高くならない」(「変わらない」31.4%と「低くなる」23.9%の合計)と考えている人が55.3%と過半数で、「高くなる」とする人は35.4%と3人に1人の割合にとどまった。そのため、5年先輩の現在の賃金に追いつくことが出来るかを聞いた問いでは、「上回る」と考えているのは9.5%と僅かで、「下回る」と見ている人が41.1%と最も多かった。とくに、男性・40代、男性・50代で、「下回る」と考えている人が、それぞれ54.9%、43.7%と多いのが目立つ。

雇用不安については、今後1年間に失業する不安を「感じる」とする人が23.9%で、ほぼ4人に1人の割合となっている。これを性別・雇用形態別にみると、男性・非正社員で失業の不安を「感じる」人の割合は45.7%と高く、男性・正社員では22.7%となっている。

今の勤め先での仕事に対する評価では、精神的なストレスや肉体的な疲労、キャリアアップのための機会・支援、賃金・処遇の納得性のいずれの項目についても、否定的な評価が過半数を占めた。

政府が今後1年間に強化すべき政策については、「景気対策・経済活性化」が52.9%と最も多く、次いで「財政再建」(44.7%)、「雇用対策」(42.4%)、「年金改革」(31.4%)と続く。男性・非正社員では、「雇用対策」(34.3%)を望む声が最も大きくなっている。