公正な取引環境のあり方など検討/連合と製造業派遣の団体が共同宣言

(2010年4月28日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)と製造業の派遣、請負業の事業主団体である日本生産技能労務協会(清水唯雄会長、略称:技能協)は4月26日、派遣・請負労働者の権利保護の充実やスキルアップのための環境整備とともに、派遣・請負事業の適正な運営促進による悪質業者の排除に努力するなどとした「派遣・請負労働者の処遇改善と派遣・請負事業の訂正かつ健全な運営の促進に向けた共同宣言」を発表した。今春闘で、すべての労働者を視野に入れた運動に取り組んだ連合は、派遣労働についても事業主団体の技能協や日本人材派遣協会と協議を重ね、一定の合意形成をめざしていた。事務系派遣を中心とする日本人材派遣協会とも連休明けに、共同宣言を出す予定だ。

記者会見の中で、連合の南雲弘行事務局長は、「派遣労働者の雇用の安定や処遇改善のためには、法改正だけでなく、業界として労働者の権利保護やスキルアップなどに役割を発揮して欲しい。連合は派遣先の労使関係の中で点検活動を強めていく。共同宣言の内容が着実に業界中に広がって行くことが重要だ」と述べ、合意に至ったことを評価した。また、日本生産技能労務協会の五十嵐庸公理事は「立場は異なるが、一部の企業の法令違反や労働者の処遇悪化に歯止めかけることは必要だ。働く者の権利やものづくりの発展のために、様々な問題に取り組んでいく」と述べ、事業運営の適正化を強調した。

職種・経験に応じた昇給・昇格制度の創設も

共同宣言では、労働者の処遇改善について、技能協として、法令遵守の徹底に努めることや、派遣先での就労が終了するときに、新規派遣先の確保や派遣先での直接雇用の促進に努めることを確認。能力開発・職業訓練に取り組み、職種・経験に応じた昇給・昇格制度の創設に向けた検討を行う考えを示した。連合は、派遣先企業の労使協議で、受け入れ期間や就業条件などに関する点検活動を進めるとともに、ワークルール整備や労働条件闘争としてどのように運動を推進していくか検討する。事業許可要件や罰則、事業取り消し要件の厳格化など、悪質事業者を排除する法制度改正については、共同で取り組むこととした。

適正な事業運営の促進については、技能協では、法令遵守とともに適正事業者認定制度の構築などに努め、「協会自らが健全化の規範となるよう取り組む」とした。連合としては、派遣元における労働組合の結成・加入を促進させるとしている。また、法令遵守に取り組む事業者が競争力で劣後することのないように、公正な取引環境のあり方についても、共同で取り組むこととした。