中小・パート労働者の交渉強化で賃金水準低下阻止を/連合共闘推進集会

(2010年4月2日 調査・解析部)

[労使]

 

連合(古賀伸明会長)は3月31日、都内で「2010春季生活闘争賃金水準低下阻止!共闘推進集会」を開いた。これから交渉が本格化する中小労組とパート労働者の交渉を強化し、賃金水準の低下を阻止することが狙い。古賀会長は「賃金水準の低下を阻止するためには、これからの中小労組の交渉にその成否がかかっている」などと訴えた。

現時点では賃金デフレを一定程度押し戻す効果も

連合の共闘推進集会/2010年4月2日メルマガ労使記事

古賀会長は冒頭、3月30日現在で集計した1,196組合(平均回答方式)の一人あたりの平均賃上げ額が加重平均で5,186円となり、前年同時期より177円低かったことなどを明らかにした。そのうえで、「現時点では大手労組の回答が多く入っていることを留意しなければならないが、概ね賃金カーブを確保して賃金水準を維持できた。十分とは言えないが、賃金デフレの流れを一定程度、押し戻す効果があった」と評価。その一方、「春季生活闘争はこれからが始まりで、ポイントは中小労組の交渉にある。集計結果を今後本格化する中小労組の交渉に活かしていくことが必要であり、重点課題として掲げた賃金水準の低下を阻止するためには、これからの中小労組の交渉にその成否がかかっているといっても過言ではない」などと強調し、「厳しい経営側の姿勢を跳ね返し、交渉の追い上げを図らなければ賃金水準はまた下がることになりかねない。なんとしても賃金水準を低下させないよう全力をあげて交渉を推進していこう」と呼びかけた。

7割超の中小が4月に交渉のヤマ場/パート労働者の待遇改善の運動も確実に推進

一方、中小労働委員会の河野和治委員長(JAM会長)は中小共闘の取り組みについて、「4月段階で70%を超える中小の単組が交渉のヤマ場を迎えるので、ここに照準を合わせた取り組みを強化しなければならない」と指摘。中小共闘センターで毎年設定している妥結ミニマム基準を、「賃金カーブ確保相当分」もしくは「4,500円以上」とすることを報告した。

パート共闘会議を代表して八野正一座長(サービス・流通連合会長)は、「共闘にはさまざまな業種・業態が入っており、パートタイマーの位置づけも大きく違う。組織化したばかりの労組もあれば、もう人事制度が導入できているところ、均等・均衡待遇の制度まで整っているところなど非常に幅広い。そういうなかで、現時点で2,420組合(前年同期2,102組合)が何らかの待遇改善の取り組みを行っており、単組数において確実に運動が推進されてきている」などと述べた。

八野座長はさらに、時間給の引き上げが前年同時期を約6円下回っている点について、「昨年に比べて厳しい結果となっているが、パート共闘のなかには、パートの定昇制度が確立している労組では職務・人材活用の仕組みが異なる制度を持っているところがある。そういった(職務内容や人材活用の仕組み・運用が異なるような)ところでは、正社員と異なるパート労働者等の定昇額が10円を割る額になっている。この部分で働くパート労働者が非常に多いことも数字に表れている」などと説明。さらに、「賃金・一時金はまだ要求している労組の2割弱しか妥結しておらず、これからが本格的なパート共闘としての闘いになる。各構成組織、各労組、地方連合、非正規労働センターと連動した運動でパート労働者の労働条件の引き上げを進めていく」との考えを示した。

最後まで共闘の絆を緩めず闘う

毎年開くこの集会は、昨年までは中小・パート共闘の情勢報告・情報交換などを主眼としていたが、今回は賃金水準を低下させないことを春闘方針に掲げていることから、その要求実現に向けて、「賃金水準低下阻止!共闘推進集会」にした。

集会では、「雇用と労働条件を維持することは労働組合の当然の役割であり、経営者の責務でもある。徹底した労使交渉を通じ、最後まで共闘の絆を緩めることなく闘う」などとする集会アピールを確認した。