非正規労働者の処遇改善要求が前年比1.5倍に/連合集計

(2010年3月24日 調査・解析部)

[労使]

 

連合(古賀伸明会長)は23日の記者会見で、今春交渉の目玉のひとつとして掲げた非正規労働者の処遇改善に関する取り組みをまとめ、公表した。それによると、同日現在の非正規労働者にかかわる要求は、延べ3,040件で、昨年前年同期の(09年3月28日現在1,985件)の1.5倍となっている。3,040件のうち、302件が派遣・請負労働者などの間接雇用労働者に関する要求となっている。

非正規労働者に対する取り組み状況は、連合の非正規労働センターが主要産別から聞き取ったもの。それによると、企業内最低賃金協定の締結拡大を掲げた自動車総連では、協定締結済みの584組合のうち156組合が水準引き上げまたは適用の拡大を要求し、新たに244組合が協定の締結を目指して交渉を継続している。また電機連合では、労災付加給付の非正規労働者への適用拡大・水準引き上げや、派遣・請負の受け入れに関わる労使協議の徹底の確認などの回答を引き出したところもある。

非正規労働者の組合員の多いサービス流通連合では、 (1)専門職・契約社員賃金の正社員との均等・均衡実現 (2)契約社員・パートタイマーの育児・介護短時間勤務を正社員同様に子供が小学校3年生終了まで使えるように拡充 (3)時間外割増率を正社員と同様の30%に引き上げ (4)母性保護関連、慶弔関係の福祉制度を、パートタイマーも含めて同一化 (5)パートタイマーにも有給での裁判員特別休暇を新設 (6)非正規を含めた全社員を対象とする定期健康診断の実施――などの成果を上げている。

JP労組は、月給制契約社員の基本給2,000円アップを実現したが、時間給制契約社員については、有額回答に至らなかった(昨年は平均26円引き上げ)。また、正社員への登用について、昨年を上回る規模で実施する方向で進められており、別途回答することを確認している。

年間を通じて協議、取り組み強化へ

会見の中で南雲事務局長は、「すべての労働者の処遇改善に取り組むとして今春闘に臨んだ。今後、この取り組みをどのように年間を通じた協議としていけるか、連合としてのフォローが大切となる」と述べ、引き続き非正規労働者への取り組みを強化していくことを強調した。

連合はすべての労働者を視野に入れた春闘の一環として、2月下旬からWEBサイトによる労働条件簡易診断サイト「ワークルールチェッカー」を開設。開始から3週間で、約8万件のアクセスがあり、うち集計できる約2万件のデータをとりまとめた。その結果をみると、チェック項目(複数回答)で最も多かったのが「有給休暇がもらえない」で、ほぼ半数の49.2%。ついで、「残業代未払い」が35.9%、「書面による労働条件の明示がない」(34.0%)、「健康診断がない」(19.7%)、「社会保険に加入していない」(16.8%)、「雇用保険に加入していない」(15.2%)などと続く。

問題点のチェックがひとつもつかずに結果診断が「ひとまず安心」となった人は全体の20.8%。「ひとまず安心」な人を雇用形態別でみると、契約社員で31.5%ともっとも多く、ついで正社員(20.8%)、パートタイマー(18.9%)が続き、派遣社員が14.2%ともっとも少なかった。