すべての働く者の処遇改善と政策制度要求の実現を/連合の中央集会

(2010年3月10日 調査・解析部)

[労使]

2010春闘がヤマ場を迎えるのを前に、連合(古賀伸明会長)は6日、東京・明治公園で、「2010春季生活闘争・政策制度要求実現中央集会」を開いた。構成組織の組合員約1万6,000人が参加(主催者発表)。古賀会長は「下がり続けている賃金をこれ以上、下げさせない」などと訴えた。

これ以上、賃金を下げさせない

連合・古賀会長:メールマガジン労働情報(JILPT):20100310

冒頭、古賀会長は、「取り巻く環境は依然、厳しい状況にあるが、一方では生産は徐々に回復し、製造業を中心に企業収益も回復しつつある。この背景には、そこで働く仲間の献身的な努力があることを忘れてはならない」と説明。こうしたなかでの賃金カーブ維持分の原資確保の要求について、「組合員やその家族も含めた働く者の生活に欠かせない最低限の要求であり、この実現によって10年間下がり続けている賃金をこれ以上、下げさせないようにする必要がある」と強調した。

そのうえで、「組合員かどうかに係わらずすべての働く者を対象に処遇改善を行い、働く人たち全体の底上げを図っていくとともに、政策制度改善要求の実現によってデフレスパイラルの脱却、自立型経済成長への転換を図っていくことが求められている。(今春闘を)そのための大きな第一歩としていく必要がある」と訴えた。

平均賃上げ要求5,904円、パートタイム労働者の改善要求が増加

連合中央集会:メールマガジン労働情報(JILPT):20100310

連合が4日に公表した「2010春季生活闘争賃金改定状況」の要求集計資料によると、2日までに報告があった1133組合(平均賃金方式)の定期昇給込みの要求の平均引き上げ額は5,904円(2.02%)で、多くの組合がベア要求した前年よりも2,833円(マイナス1.03ポイント)低い数字になっている。他方、現時点でパートタイム労働者の待遇改善に取り組んでいる組合は、前年同期より139組合多い554組合。そのうち、時間給の引き上げに取り組む組合は250組合で、前年同期比で98組合も増えた。時間給換算の可能な176組合の要求の平均は、28.78円で前年同期に比べ0.83円高い数字になっている。

政策制度課題の取り組みで連合の底力を示す

政策制度課題について古賀会長は、「政府との政策協議を通じて、働く者・生活者の視点から意見反映を行い、その実現に取り組んだ結果、2010年度予算の年度内に成立が確実になったことは大変意義深い」としたうえで、「今後の国会審議においては、雇用保険法の改正、労働者派遣法の改正など労働者保護のさらなる強化と雇用のセーフティネット機能の強化に向けた重要法案の早期成立に向けて取り組んでいかねばならない」と強調。「政権交代が実現した今こそ、政策制度課題の取り組みを進め、希望と安心の社会づくりに向けて将来への展望を切り開くことが連合に課せられたい使命。連合の底力を大いに示していこう」と呼びかけた。

ヤマ場に向けて産別代表の決意表明も

集会では、構成組織の代表がヤマ場に向けて決意表明した。西原浩一郎・自動車総連会長は、「最低限の要求として賃金カーブ維持分確保を徹底するなか、全体の4割を超える489組合が自社の賃金実態を踏まえた格差是正あるいは賃金体系上の歪みの是正等に向けて賃金改善を要求している」ことを紹介した。自動車総連の集計によると、3月2日時点での賃金改善分要求組合の平均要求額は1,304円となっている。

落合清四・UIゼンセン同盟会長は、「もし仮に定昇制度が凍結されるとの逆提案があれば、賃金決定ルールを無視した姿勢。平和交渉以前の問題として3月18日に向けてストライキ権利を確保し、第一波のストを予定している」との決意を示し、そのうえでパートタイム労働者についても、「30~40円の賃上げを要求しており、絶対に確保しなくてはならない」と訴えた。

電力総連の種岡正一会長は、「エネルギーの安全・安定供給という社会的責務を果たすためには、働く者の雇用と労働条件が安定したものでなければならない。電力関連産業で働く者が社会を暖かく明るくするために一生懸命働いていることをしっかり訴えていく」と語り、「人への投資」の重要性を強調した。

なお、集会では、「すべての働く者とその家族の幸せの実現に向け、最後まで戦い抜く」などとするアピールを採択した。