臨時・非常勤等職員の処遇改善を求め集会/自治労

(2010年3月10日 調査・解析部)

[労使]

自治労の臨時・非常勤等職員全国協議会は6日、東京・有明で定期集会を開催し、 (1)恒常的な業務に任用される臨時・非常勤等職員の法的地位の明確化と処遇改善を求める (2)任期の定めのない本格的な短時間公務員制度の確立をめざす (3)非常勤職員等の雇用年限の撤廃と、外部委託・指定管理・人員削減等による雇止めを阻止し、継続雇用の確保に取り組む――等5本を柱とする、向こう1年間の活動方針などを決めた。集会後は、有楽町駅前で、臨時・非常勤等職員の置かれている現状や課題とともに、法制度改正の必要性を訴えた。

非正規職員の比率は27.6%、推計60万人――厚労省に要請書提出

自治労(徳永秀昭・委員長、約95万人)が92年以降、増加する臨時・非常勤等職員の組織化を重点課題に掲げるなか、臨時・非常勤等職員全国協議会は、10都道府県に本部を置くまでに拡大したことを受け、03年に結成された。自治労の調べによれば、自治体に働く臨時・非常勤等職員数は、80年に約9.2万人だったが、90年に約20万人、2000年には約31万人まで急増。さらに、08年に実施した「自治労臨時・非常勤等職員の実態調査」では、少なくとも全国自治体数の約6割に相当する1,104自治体で34万、801人の存在が確認できたという。一方で正規職員定数の削減も進んでいることもあり、非正規職員比率は27.6%まで急増している。

協議会は集会前日の3月5日、長妻昭・厚生労働大臣あてに、自治体の臨時・非常勤等職員の雇用安定と労働条件に関する要請書を提出。「自治体に働く臨時・非常勤等職員は(全自治体総数の推定で)60万人を超えており、その多くは保育士(調査によると非正規職員比率約52%、推定約10万人)をはじめ、窓口等の相談員(約93%)、学童指導員(約90%)、図書館(約63%)、給食調理(約57%)等、住民サービスの最前線で基幹的・継続的労働力として職務にあたっているにも係わらず、一方的な雇止め・労働者の入れ換えが行われ、均等・均衡待遇原則も適用されないなど、法の谷間に置かれている」などとし、「臨時・非常勤等職員の雇用が保護され、均等・均衡待遇原則が適用されるよう、関係省と協議し、対策を講じる」よう要請した。

これに対して、細川律夫・厚生労働副大臣からは、「皆さんの問題は、官製ワーキング・プアとも言われていると認識している。担当相に適切に対応するよう伝えたい」などとする見解が示された。この結果について集会では、「副大臣に直接、訴えることができたのは初めてのことで、その意義は大きい」と評価した。

また集会の中では、臨時・非常勤等職員の処遇改善に向けた、具体的な法改正(案)も提起した。密田義人・事務局長は、当面の法制度改革として、 (1)非常勤職員の諸手当の支給制度に関する制度改正(地方自治法第203条・204条関連) (2)パート労働法の趣旨の公務員への適用 (3)地方自治体における任期の定めのない短時間公務員職員制度の確立――の3点に絞り、策定した具体案を今後、政府・与党に働きかける方針を明らかにした。なお、役員改選があり、川本富貴子・前副議長が議長に就任した。