「対話と提言」運動を展開/自治労連の運動方針

[労使]

地方自治体を中心に組織する自治労連(大黒作治委員長、約18万人)は9月6~7日の2日間、東京・東陽町で第31回定期大会を開き、(1) 大企業の社会的責任を果たさせ、公正な社会をめざす(2) 地域に出て「対話と提言」運動をすすめ、「公務公共性」を拡充する(3)「労働基本権」「民主的公務員制度」を実現する(4)すべての単組・地方が組織拡大、職場活動強化、次世代育成をめざす――などを柱とする2009年度の運動方針を決めた。

公正な社会をめざす取り組みでは、官製ワーキングプアをなくすため、具体的な課題として「労働者派遣法の抜本改正」「全国一律最低賃金の実現」「公契約条例の制定推進」などを掲げている。派遣法改正では、登録型派遣の原則禁止、日雇い派遣の禁止、製造業派遣の原則禁止を打ち出すとともに、均等待遇や差別禁止を求めて、署名運動や国会請願行動を強化する考えだ。最賃では、全国一律1,000円以上を目標に、全労連、国民春闘共闘などと協力して、全国で運動を展開する。公共サービスに従事する労働者の労働条件を担保する「公契約条例」については、地方議会・自治体に対して条例の締結を働きかけるとともに、公共サービスにかかわる企業・業界団体との懇談を進め、条例の整備に向けた合意形成を図るとしている。指定管理者制度などによる公共事業のアウトソーシング化が進む中で、そこで働く労働者の労働条件とともに、価格だけでなく質の高い公共サービスを担保する政策入札制度の確立がねらいだ。

「対話と提言」運動については、すべての単組に対して、職場から地域に出て、地域経済、医療、保育・子育てなどの地域課題から一つ以上を取り上げ、実態を調査するとともに、地域住民との対話を広げて、住民要求にもとづく提言活動を展開するよう求めている。

「労働基本権回復」「民主的公務員制度」の実現では、争議権を除いた協約締結権の議論が進められていることを批判し、労働基本権の全面的回復をめざす取り組みを強めるとしている。また、基本権の回復を視野に入れて、賃金闘争などの要求集約・交渉にかかわる運動体制の整備を進める考えだ。

組織拡大については、全国に配置された83人の組織拡大専任者を中心に、それぞれの地域で具体的な拡大目標、重点対象を明確にして取り組むことを求め、30万自治労連の実現をめざす。とくに、公共サービスで働く非正規労働者の組織化に力を入れる考えで、拡大目標を10万人としている。自治労連の組織現勢は、18万1,000人。団塊の世代などの大量退職が続いている状況で、純増には至っていないが、ここ1年間で前年の9,000人を上回る1万1,000人を組織化するなど、減少幅が小さくなっている。新たに組織化した1万1,000人のうち、3,600人が非正規労働者。

役員選挙では、野村幸裕書記長が委員長に昇格し、新書記長に猿橋均氏(大阪自治労連出身)を選んだ。

(調査・解析部)
2009年 9月9日