新しい公務員制度の実現目指す運動方針を決定/自治労定期大会

[労使]

 
 

自治労(約95万人)は8月25~28日、熊本市で定期大会を開き、「自治体財政の確立と自治・分権の推進」「地域社会を支える公共サービス改革」「新しい公務員制度の実現と生活改善」「産別組織の確立・強化」――など16本の目標を掲げる向こう2年間(2010~11年)の運動方針を決めた。役員改選があり、岡部謙治委員長に代わり、徳永秀昭氏(大阪市職・出身)が選出された。

「現場力なくして公共サービス改革はなし得ない」(岡部委員長)

決定した運動方針は、 (1)自治体財政健全化法が本格施行され、2010年には分権一括法案の国会提出が予定されるなか、財政分析を基にした政策転換や公正な人件費配分など現場から自治・分権を推進する (2)公務員制度改革基本法に規定された「自律的労使関係」の2012年からのスタートに向け、現段階から「要求―交渉―妥結」スタイルを確立する (3)約60万人と推計される臨時・非常勤等職員の組織化を中心に、公共サービス労働者を総結集する――等を取り組みの重点に置く内容となっている。

あいさつした岡部委員長は、この方針について、「地域で公共サービスを担う労組として、何をなすべきかの基本に立ち返り策定した」との基本スタンスを説明。そのうえで、「住民と接する職場で働く公共サービス労働者に、蓄積された現場力(問題発見・解決能力)を自治体の政策に活かすことで、サービス改革を志向する考え方で、まさに自治労が結成来脈々と継承してきた運動の基礎を成すものだ」などと強調した。

「勧告制度の形骸化は明らか」と批判

岡部委員長はまた、人事院が8月11日に、月例給を平均863円、0.22%(自宅に係る住居手当の廃止含む)、一時金を過去最大幅の0.35カ月分引き下げる(6月の支給凍結分0.2カ月含む)等のマイナス勧告を行ったことに触れ、「非常に厳しい内容だ。とくに一時金については民間賃金の実勢を反映したものとはいえ、大いに不満が残る。背景にある度重なる政治介入はもはや看過できるものではなく、一方で6割にものぼる自治体で財政悪化を理由に独自の賃金カットが行われていることと併せても、勧告制度の形骸化は明らかだ」などと批判。そのうえで、「勧告制度の存在意義が問われる事態に陥っている今こそ、秋の確定闘争では、2012年にも予想されている労働基本権の回復に向け、要求・交渉・妥結の一連の流れの中で、労使双方が責任を持って賃金・労働条件を決定するという実態を、単組段階で積み上げていかなければならない」と強調した。

大会ではこのほか、自治労・都市交・全水道による組織統合の断念に伴い、07年9月に結成し、同10月から連合加盟を一本化していた「地域公共サービス労働組合連合会(地域公共連合)」を解散し、09年7月1日付で連合加盟形態を各産別単位へ戻す、機関手続きを進める方針を承認した。

また、団塊世代の退職等に伴う加入者の減少から、検討を進めてきた自治労共済の全労済への統合案も承認。運動方針、共済事業、損益会計、機関・事務局(約420人の転籍も)を一本化することを原則に、2011年6月の実質的組織統合(2013年完結)に向け、統合準備委員会を設置して具体的な協議を詰める方針を確認した。

大会最終日には役員改選が行われ、新委員長に徳永秀昭氏(大阪市職・出身)、新書記長に岡本博氏(三重県職・出身)を選出した。

(調査・解析部)
2009年 9月2日