「民間・金属・ものづくり」の観点で民主党との連携強化/金属労協定期大会

[労使]

自動車、電機、鉄鋼造船、機械金属などの産別でつくる金属労協(IMF・JC、西原浩一郎議長、200万人)は、1日に都内で定期大会を開き、昨年決めた向こう2年間の運動方針を補強する2010年度の活動方針を確認した。冒頭のあいさつで西原議長は、衆院選挙の結果、労働界の目標である政権交代が実現したことを受け、制度政策課題の実現に向け、「民間・金属・ものづくり」の観点から、「民主党との政策協議を中心とする連携を従来以上に強め、政策実現力を高めていきたい」と語った。

春季交渉は連合の金属部門共闘に軸足移す

向こう一年間の活動方針では、構成組織の関連産業を中心に厳しい状況が続く経済・雇用危機への対応を重視。雇用の維持・創出を図り、組合員の生活と活力の維持・向上に向けて、来春闘争の議論を進める。併せて、改正労働基準法を踏まえ、継続課題となっている時間外割増率への対応など、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを推進する。

これとの関連で、春闘期におけるJC共闘のあり方を見直し、09春闘で発足した連合の部門共闘を強化するため、西原議長は「取り組み全体を、JC共闘から、より部門共闘へシフトする方向で努力していきたい」と表明した。賃上げ交渉でパターンセッター役を務めてきたJC共闘だが、その軸足を金属労協の加盟産別と全造船で構成する連合の金属共闘連絡会議に移す姿勢をより明確にしたもの。今後の組織の姿については、取り組み課題を整理し、必要な改革を2011年度から実施する。金属労協は発足時の本来的機能である国際金属労連(IMF)の日本加盟組織として、国際活動を中核に、連合や産別の政策要求とは別に、「民間・金属・ものづくり」の視点での産業政策の実現に力点を置く考えだ。

来春交渉の課題――政権交代で「政策実現」に期待感

具体的な来期の課題としては、個別銘柄別の賃金水準を重視する「大くくり職種別賃金水準の形成」に向けた取り組みを強化する。公的データによる他産業との水準比較や、実態データの把握・分析により、金属産業にふさわしい賃金水準を目指す。一方、JCミニマム運動の一環として展開してきた企業内最低賃金協定の締結率アップとその水準引き上げを求める。参加組織の協定締結率は年々増加し、現在は5割を超えている。

また、金融・経済危機以降、「派遣切り」などの形で、自動車や電機関係産業を中心に社会問題化した製造現場における非正規労働者の問題については、「実態や問題点の把握を行うとともに、中長期的な視点での金属・ものづくり産業における非正規雇用労働者の在り方について、組織委員会の場を中心に議論を進める」としている。

質疑では、JC共闘から連合の金属共闘連絡会議に軸足を移すことについて、すべての構成組織(自動車総連、電機連合、基幹労連、JAM、全電線)から、積極推進の意見が出されたほか、政権交代を受け、「政策制度要求の実現力は高まっている」(電機連合)「政策決定のプロセスが変化することもあるので民主党との連携強化が必要」などの期待も表明された。答弁した西原議長は、「政策決定の仕組みが変化しようとしている。地球環境問題など(民主党とは)、すべて一致しているわけではないが、政策を実現させるために、今後の政治の流れを見て体制を整えたい」と語った。

(調査・解析部)
2009年 9月2日