高校生の就職内定取り消しが急増/日高教の緊急調査

(調査・解析部)

[労使]

来春卒業予定の高校生の就職内定取り消しが今月19日時点で73人に上っている――。日本高校教職員組合(日高教)が実施した緊急調査でこんな実態が明らかになった。調査は全国34道府県をカバーした内容。日高教は「全都道府県の実態が判明すればさらに増えることが心配される。高校生の就職保障に向けた対応が強く求められる」などと訴えている。

調査は今月11日、日高教の加盟組合がある地域などを対象に実施。各県の教育委員会・労働局などの関係機関や職場での聞き取りに加え、地元メディアの報道内容も集約して34道府県の実態をまとめた。

それによると、19日段階で高校生の就職内定取り消し件数は73件。道府県別では、長崎(12人)、岡山(11人)、鹿児島(9人)、山形(8人)、愛知(7人)などで目立っている。製造業の一企業が多数の取り消しを出しているのが特徴で、採用試験の実施後に求人を取り下げる「就職ルール違反の疑いが濃い、内定取り消しに近いような事例もみられる」という。

また、今回の調査結果は、11月末に厚生労働省が調べた結果(29人)を大きく上回ったうえ、昨年3月末の累計人数(57人)もすでに超えているという。藤田新一書記長は、「とりわけ高校生の場合は、進路指導の先生が求人票をみて応募先を絞り込んだうえで内定を得る場合が多い。そういった形で内定をもらって安堵しているような状況があるなかで、今時点でこんなに多くが取り消されていたのは大変驚くべき数字。各地の教職員からは『さらに多くの取り消しがでるのでは』と心配する声が聞かれる」などと憂慮する。

調査結果を受けて日高教は同日、「高校生の就職保障に関する要求書」を舛添要一厚労相あて提出した。 (1) 内定取り消しや「採用待機」が起こらないよう企業への指導・監督をいっそう強化する措置を講じる (2) 内定を取り消された高校生への緊急対策を講じる (3) 就職未決定者、就職への進路変更者への求人確保と雇用創出に全力をあげる (4) 緊急雇用対策は、直接雇用を創出する対策を重点とする (5) 高校生の求人・雇用が困難な地方に手厚い対策を取るとともに、中小企業への支援を強化する――ことなどを求めている。