要求基準、「4,000円以上の賃金改善分」に/自動車総連

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(西原浩一郎会長、74万2,000人)は17日に都内で中央執行委員会を開き、09春季労使交渉に向けた賃上げ要求として、「4,000円以上の賃金改善分を設定することを基本とする」執行部原案を確認した。1月15日に開く中央委員会で正式決定する。要求基準に具体的な数値を掲げるのは2年連続。08春闘では「格差・体系是正に向け、1,000円以上の賃金改善分を設定することを基準とする」内容だった。

西原会長は、「4,000円以上」の要求を打ち出した背景を、「雇用確保・雇用創出の観点からも景気をこれ以上、深刻化させるわけにはいかない。賃金改善により内需拡大をはかり、雇用環境の改善につなげていく」と強調したうえで「産業・企業実態を踏まえ、過年度物価上昇率については1%半ばを想定し、産業としての生産性や格差是正などの観点も総合勘案したうえでぎりぎり組める水準だ」と説明した。

さらに、賃金と雇用の関係について「トレードオフの関係にはない」と指摘。「急激な景気悪化による雇用環境の悪化、物価上昇による家計への影響で組合員の生活不安が高まっている今、厳しさを超える職場の意欲・活力を喚起するためにも、賃金の社会性を踏まえて要求を組んだ」と訴えた。

また、トヨタや日産など大手自動車メーカーを中心に派遣労働者や期間工の雇い止めが相次いでいることにも触れ、「過去3年間のメーカーにおける正規登用人員を積算すると7,000人を超えるなど、従来から非正規労働者に関わる働く環境条件も含めた対応を進めてきた。(現在も)傘下の各単組レベルで多くの取り組みがなされており、特に雇い止めを行わざるをえない場合には個別に労使協議を開いて、コンプライアンスの遵守はもちろん、住居の関係も含めた最大限の福利厚生の配慮を申し入れている」などと説明。「さまざまな対応をとってもなお、同じ職場で働く非正規労働者の仲間の生活、雇用に大きな影響を生じていることは大変残念だ」として、今後も引き続き、最大限の努力を行っていく考えを示した。

今後、各組合が同案を検討したうえで、来年1月15日に広島県で開く中央委員会で正式決定する。