物価の上昇に見合う要求設定を/金属労協、09闘争方針を決定

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC)は3日、都内で第51回協議委員会を開催し、09年の春季交渉に向けた賃上げや労働時間短縮などの要求の枠組みを示す2009年闘争方針を決めた。賃上げ要求では、「実質生活の維持を図るため、物価の上昇に見合う要求を行う」ことを確認。西原浩一郎議長はあいさつで要求内容について「各産別の要求設定において、物価の影響を重視すべきだ」などと訴えた。

協議委員会の冒頭、西原議長は09春闘における賃金改善の取り組みについて、 (1) 賃金構造基本統計調査によれば、07年の全産業平均を100とした場合の金属産業の賃金は97.2で、依然、改善すべき水準格差が存在しており、引き続き追求する (2) 「物価上昇に見合うベア」との連合方針を踏まえ、「実質生活の維持を図るため、物価の上昇に見合う要求を行う (3) 中堅・中小の賃金の底上げと格差改善では、大手企業の業績悪化が顕在化するなか、中小企業との取り引き関係においてCSR・公正取引に逸脱する事例が発生しないよう、チェック・監視体制を強化する――などのポイントを指摘した。

物価上昇分の捉え方など具体的な要求は今後、各産別が判断して設定するが、西原議長は「物価上昇が組合員の生活に与える影響は重大であり、各産別の要求設定において、物価の影響を重視すべきだ」と強調。そのうえで、「今日、求められるのは労働組合の社会的責任を踏まえたマクロの視点を重視した取り組みだ」と呼びかけた。

金属産業にふさわしい賃金水準の実現をめざした、「おおくくり職種別賃金」の取り組みでは、基幹労働者(技能職35歳相当)の「あるべき水準」として、08年闘争と同様に、 (1) 目標基準(めざすべき到達水準)は基本賃金で33万8,000円以上 (2) 標準到達基準(標準的な労働者が到達をめざす水準)は同31万円以上 (3) 最低到達基準(全単組が到達をめざす水準)は標準到達基準の80%程度(24万8,000円程度)――の3つのポイントを提示している。

なお、一時金要求は年間5カ月を基本に、最低でも4カ月を確保する。

このほか、多くの組合で継続協議になっている時間外割増率の引き上げや、企業内最低賃金協定の締結拡大、非正規労働者の労働条件改善などにも取り組むとしている。