09春闘に向け秋口から早めの準備を/フード連合定期大会

(調査・解析部)

[労使]

食品産業関係の労働組合で構成し、中小が8割を占めるフード連合(渡邉和夫会長、9万9,700人)は8日、都内で定期大会(中間年)を開催し、当面の取り組み方針などを確認した。渡邉会長はあいさつなかで09春闘に向けて、「景気の停滞、物価の上昇、業績の悪化に見舞われる中で厳しい闘いとなるだろうが、労組の真価が問われるとき。過去、企業の競争力強化のために協力を惜しまず、企業あっての労働者という呪縛の中で呻吟し、自らの家計の疲弊を甘んじて受け入れてきたが、09春闘を自らの闘いとするには秋口から早めの準備に入ることが重要だ」などと強調した。

大幅な時短に向け、生産性や要員にも踏み込んだ要求づくりを

あいさつで渡邉会長は、当面とくに力点をおくテーマとして、 (1) 中小労組に対する支援体制の強化 (2) 09春闘のたたかい (3) 労働時間短縮の取り組み――の3点をあげた。中小への支援では、「農産物の国際価格が高騰するなか、川上インフレ・川下デフレの状況で適正に価格転嫁が進まなければ、とくに中小企業で経営が強く圧迫される。これまで以上に、公正な取引関係の構築に取り組まなければならない」と述べた。また、時短については「この課題を棚上げしてきたことを率直に反省し、所定内労働が年間2,000時間を超える異常さにもっと感度高く対応しなければ、産業としての明日はないくらいの危機感を持たなければならない。大幅な時短を図るため、生産性や要員等を含め発想を変えて要求を作る必要がある。具体的な前進に向け、是非ともスケジュール化していこう」などと呼びかけた。

08春闘の総括では、187組合(全体の65%)がベア・賃金改善要求に取り組み、62組合が5,172円(1.79%)、うち300人未満でも4,186円(1.76%)で妥結したことが報告された。また、時間外割増率の引上げでは要求した83組合中5組合、パート等の組織化・処遇改善(正社員登用制度の導入等)では同58組合中26組合、時間給引上げでも同29組合中8組合(平均16.2円増)で回答を引き出すなど、「前年を上回る健闘ぶりだった」(栗田労働局長)ことを確認した。

組織化関係では、過去1年で新規加入が約3,600人となり、10万人の組織回復まで目前の9万9,700人に達したことが報告された。02年の結成時10.4万人だった組織人員は、その後減少の一途を辿り、05年には9.5万人を割り込んだが、OBを活用した組織アドバイザー(オルグ)の設置などが効を奏した格好となった。

また、加盟組織の中国産冷凍ギョーザ事件をはじめ、産業内では食品偽装などの不祥事が相次ぐなか、食品産業政策を4年ぶりに改定した。食の安全・安心に向けた取り組みや食品自給率の向上などを求め、農林水産省に提起する方針を決定した。