新議長に西原浩一郎・日産労連会長を選出/金属労協定期大会

(調査・解析部)

[労使]

自動車、電機、鉄鋼・造船などの産別労組でつくる金属労協(IMF・JC、200万人)は2日、都内で定期大会を開き、 (1) 金属産業にふさわしい労働条件の確立 (2) 民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組み (3) グローバル化の負の側面を克服するための国際連帯活動の推進 (4) 組織強化への対応とより効率的な運動の構築――を重点課題とする向こう2年間の運動方針を決めた。役員改選があり、2005年12月から議長を務めた加藤裕治・自動車総連会長(トヨタ労連)が退任し、新議長に西原浩一郎・日産労連会長を選出した。

新旧議長とも物価上昇分の要求組み込みを強調

当面する重要課題といえる物価上昇を踏まえた09春闘の要求のあり方について、新旧議長が見解を明らかにした。冒頭のあいさつで加藤前議長は「09年は久々に物価が明確に上昇するなかでの取り組みとなる。組合員の実質生活を維持するため物価上昇分についてはきっちり要求に組み込むべきという声が大勢であり、当然のことと思う」と述べる一方、就任後の記者会見で西原議長も私見としつつも、「物価上昇分を踏まえた実質賃金の維持・向上は、内需を活性化するためにも必要で、これを踏まえた要求組み立てが必要」との見解を表明。両者とも物価上昇分を前提とした賃上げ要求が必要だとの認識を示した。

運動方針の中では、金属産業の賃金水準が全産業平均の97%にとどまっていることから、日本経済のけん引役としての産業にふさわしい水準の引き上げや産業内の格差是正を軸とした共闘体制の強化に努めるとしている。具体的には春季闘争で、個別銘柄別の賃金水準を重視した「大くくり職種別賃金水準の形成」を推進するほか、中堅・中小の登録組合のデータ公開による全体の底上げをめざす。

政策課題としては、若者の製造業離れに歯止めをかけるため、若年者トライアル雇用やジョブ・カード制度などを活用し、若者がものづくり産業で正社員として就職できるようにする施策の展開のほか、 (1) 外国人研修・技能実習制度の適正化 (2) サマータイム制度の早期導入 (3) 短期契約かつ間接雇用という「二重の不安定」の制限――などに力を入れる。

また、国際連帯活動の一環として、加盟する国際金属労連(IMF)が提起する「IMF不安定労働に対抗する世界行動日」への参加を確認。これはグローバル化の負の側面として雇用・労働分野で各国共通に発生している非正規雇用の増大に対して、「労働の尊厳」を取り戻すための共同行動で、10月7日を一斉行動日としている。日本では連合との共催で10月9日に都内での集会やデモを予定している。

役員改選では、4日からの自動車総連定期大会で会長就任が予定されている西原浩一郎・日産労連会長(55歳)を新議長に選んだほか、昨秋、團野久茂前事務局長が連合副事務局長に転出したため、空席となっていた事務局長に、若松英幸事務局長代行(54歳、東芝労組)を正式に選出した。