結成時の目標20万人組織を達成/JSD定期大会

(調査・解析部)

[労使]

百貨店やスーパー等の組合でつくる、サービス・流通連合(略称:JSD、桜田高明会長)は17、18の両日、都内で定期大会を開き2009労働条件改善の交渉方針等を決めた。また、今年5月現在の登録人員が、01年の結成以来、中期目標に掲げてきた20万人を超える20万人4,000人となったことも報告した。小田急百貨店・商事や近鉄百貨店、サミットや東急ストア等における、パートタイマーなどの大規模な組織化が寄与。この結果、JSDに占めるパート等の有期契約者比率は、約38%となった。

統合断念で、今後は限られた財政下での運動再考が課題に

あいさつした桜田会長は、UIゼンセン同盟との間で05年から検討してきた再編統合が、結果として会費の水準問題を含む財政面や新組織の名称をどうするかの側面で折り合わず終了したことに触れ、「不首尾に終わったことは非常に残念だが、やるだけやった意義は少なくないと思う」と総括した。そのうえで、「産別統合によって解決しようとしてきた課題を、今後は自らの力量強化により乗り越えなければならない非常に困難な途を選択したとも言える。運動そのもののあり方の再考や、組織機構と体制、政策推進、財政、人材育成、地方活動など、検討すべき領域は多岐に渡っている」と指摘。今月末にもプロジェクトを立ち上げ、こうした課題にどう対応するかの検討に入る方針だ。

統一目標を掲げて臨んだ今春闘を総括

JSDは今春闘で、03年から続けてきた通年春闘路線(総合的な労働条件についてミニマム重視で、個別組合が通年で交渉・協議するスタイル)を転換し、統一目標を掲げた。桜田会長はこの点に触れ、「他産業との賃金格差が顕在化するなか長時間労働化も進んでおり、モラールにも大きく影響することからこのまま放置することはできないという強い危機感を持ち、産別として6年ぶりに賃金に真剣に向き合った交渉を展開した。統一的運動の下で月例賃金の改善に取り組んだ結果、多くの組織(約6割)で要求を掲げ、(平均賃金引上げ額では昨年を上回る)結果を得ることができた」などと総括した。

そのうえで、「次年度は物価上昇分をどう捉えて交渉していくかが焦点となろうが、物価の上昇は購買力を低下させ、内需に依拠する我々のような産業にとりわけ大きな打撃を与えるだけに、今年以上に重要な交渉になるだろう。JSDにとって時計の針はもう戻せない。同じ方向で決めたことはやり抜く姿勢で、今回の反省や課題を踏まえた運動を行っていこう」などと述べ、統一交渉を強化する意向を明らかにした。

大会では、2009労働条件改善交渉の方針として、前年度に続き、賃金改善を主体とする春の交渉と、ワーク・ルールの改善に向けた通年交渉という2本立てで取り組むことを決定した。

春の交渉に当たっては、一人前賃金(勤続10年30歳の個別賃金)をベースにしつつ、「底上げ基準」「社会的基準」「先行基準」の3本立の要求基準を検討することや、今春闘で伸び悩んだパートタイマーの時間給について実態把握を強化しつつ分類ごとの目標基準、法定最賃の引上げ対応を含めて検討すること――などを提起した。

また、通年交渉については、 (1) 均等・均衡待遇に向けた概念・基準整理と制度の協定化(慶弔休暇、通勤手当の正社員同基準付与と社員転換制度の設置を必須に) (2) 育児短時間勤務制度の拡充 (3) 労働者の健康と生活に配慮した労働時間に関する協定化(割増率を時間外・深夜30%以上、休日40%以上等を必須に)――を柱に据えることを確認した。