全国医師連盟が発足

(2008年6月11日 調査・解析部)

[動向]

医療崩壊と対峙して、医療新時代をつくろう──。病院の勤務医などでつくる「全国医師連盟」(黒川衛代表)が6月8日、都内で発足総会を開いた。医師不足など過酷な医療環境の改善や、幅広い医療情報の発信などに取り組む考え。黒川代表は、「現場にいる医師の力で医療再生を求めていかなければならない」と述べている。

同連盟は、患者と医療従事者の権利を重視し、医療の質の向上と診療環境の改善などをめざす医師自らが立ち上げた新組織。 (1) 医療環境の改善 (2) 医療情報の発信 (3) 医療の法的倫理的側面の解決──を重点活動項目に掲げている。

具体的な活動予定としては、勤務医の労働実態を把握する調査の実施や、個人加盟の医師職労組(ドクターズユニオン)の創設、診療経営の改善に取り組む。また、メディアや国民に向けて医療情報を発信するとともに、医師による倫理的自律的活動の協議の場の設置も求めていく。

黒川代表は記者会見で、「(医師会など)既存の組織が医療崩壊を前に、その解決への方向性を示さない現状では、現場にいる医師の力で医療再生を求めていかなければならない」と決意を語った。

同連盟の会員は、全国の勤務医や研究医、開業医など740人で、平均年齢は45歳。「我々はまだ生まれたばかりの組織。(今後、会員が)1,000人に届いたら、次は1万人を超えて、社会的な実績をあげられるような組織になりたい」(黒川代表)という。