新組織は自治労以外の名称とする討議案を提起/自治労中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

自治労(岡部謙治委員長、95万人)は5月29~30日、石川県・輪島市で中央委員会を開き、公務員制度改革をはじめ、公共サービスの規制改革、諸手当の見直しが焦点になる2008年人勧等に向けた取り組みを柱とする当面の闘争方針を決めた。また、都市交、全水道との組織統合に向けた名称問題について、「『自治労』以外の新たな産別名とすることを基本姿勢に今後の協議にのぞむ」などとする討議案を提起した。

「公務員制度改革法案は不満だが抜本改革の端緒にも」(岡部委員長)

挨拶した岡部委員長は、政府が今国会に提出した国会公務員制度改革基本法案が、修正協議を経て29日に、衆議院本会議で採決される見通しになったことに触れ、「(非現業職員に対する)協約締結権の付与・拡大の問題が最終的な焦点になる中で、これを廃案にして改革の芽を摘むことは許されず、また、臨時国会以降に審議が行われる可能性は極めて低くなったこと等を冷静に分析し、ギリギリの判断として一定の前進的な修正をもって了解した」などと説明した。

そのうえで、「修正内容は私たちがめざす目標からみれば依然、満足できるものではないが、今回の法案は単に非現業職員に協約締結権を付与するにとどまらず、さまざまな不合理な制約を受け、国民にも分かりにくい制度となった公務の労使関係を、抜本的に改革する端緒となる可能性を秘めていることを是非ともご理解いただきたい」などと述べた。

これに関連し、方針では第97回ILO総会(5月28日~6月13日)で、日本の労働基本権問題の現状を報告するとともに、同法案が条約勧告適用委員会の個別審査案件として取り上げられるよう、取り組むことなどを決めた。

新名称で都市交、全水道との組織統合へ

中央委員会ではまた、都市交(3.1万人)、全水道(2.8万人)と協議を進めている、2010年秋の組織統合に向けた名称問題について、「自治労」を含まない新たな産別名とすることを基本に今後の協議にのぞむとする討議案を確認した。

2002年から検討をスタートした、都市交(約3.1万人)、全水道(約2.8万人)との地公三単産の組織統合をめぐっては、完全統一にむけた過渡的組織として昨年9月、「地域公共サービス労働組合連合会」を発足させ、昨年10月から連合加盟単位を一本化している。その後、新たに統一委員会を立ち上げ、対等合併による新たな産別組織をめざし、名称や組合費の問題をはじめ、綱領や規約、運動方針等についての協議を進めてきている。

この間、自治労本部は、新しい名称による統一体への移行を基本としつつも、「自治労という名称も選択肢の一つ」などとする答弁を踏まえ、新組織の名称を自治労とする努力を続けてきた。しかし、この路線での歩み寄りは困難となったことから、岡部委員長は「三単産の合意には至らなかったことを率直にお詫びしたい」などと、反省の弁を述べた。

そのうえで、「名前を変えてまで統合する必要があるのかという意見もあるが、是非やり切らねばならない、名称を超える運動の飛躍的前進を図らなければならないと敢えて訴えたい。自治労という名称を変える、いわば歴史的な提案を行う重責を感じながら、組織討議を深化してもらえるようお願いしたい」などと要請した。

討議案が今夏の定期大会で決定されれば、2009年の定期大会で、新組織の具体的な名称ほか、綱領、規約等の討議案が提起されることになる。