就職率上昇も地域間などで格差/日高教・高卒就職決定調査

(2008年5月9日 調査・解析部)

[労使]

日本高等学校教職員組合(日高教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は先ごろ、今春、高校や特別支援学校高等部を卒業した生徒の就職決定実態調査を発表した。

調査結果によると、今春卒業した就職希望者の就職決定率は全体で92.6%と、昨年度を0.6ポイント上回った。男女別にみると、男子は昨年度比0.1ポイント減の95.2%だが、女子は1.7ポイント増えて88.6%となっている。就職をめぐる男女間格差は若干の改善傾向にあるものの、6.6ポイントの開きがあった。就職決定率は昨年度より上昇したものの、男女別や地域間での格差が見られる。

調査は日高教などの加盟組合がある29道府県454校の就職担当教員らの回答をまとめた。

「就職・進学以外」は減少

また、今回の調査では、「就職・進学以外」(卒業時点で就職できなかった者と進学も就職もあきらめた者の合計)が全卒業生の5.5%となり、昨年度に比べ0.9ポイント改善している(男子0.5ポイント減、女子1.2ポイント減)。『就職・進学以外』の減少が、就職決定率の引き上げの一因になっているようだ。

地域経済が地元の就職に影響

地域別の就職決定率は、「北海道・東北」(88.7%)、「関東・甲越」(92.5%)、「北陸・中部・東海」(96.9%)、「近畿」(92.9%)、「中国・四国・九州」(94.0%)となっており、一番高い「北陸・中部・東海」と最低の「北海道・東北」では8.2ポイントの地域間格差がある。就職の厳しい「北海道・東北」の求人状況をみると、県外求人が増加した学校が72.0%なのに対し、県内・管内求人が増えた学校は22.9%だけだった。地域経済の事情が、地元の就職に影響を及ぼしていることがうかがえる。

非正社員での就職は減少

一方、派遣社員やパート・アルバイトなどの非正社員で就職した者の比率は2.9%。昨年度より1.1ポイント減り、ここ数年の増加傾向(03年度3.3%、04年度3.8%、05年度3.9%、06年度4.0%)に歯止めがかかった。その要因について、日高教では「人手不足で正社員の求人が増えていることに加え、昨今のワーキング・プアや派遣会社の不祥事などに焦点を当てたマスコミ報道の影響で、保護者や生徒が非正社員の求人を避ける傾向にあるのではないか」などと話している。

ただし、非正社員の求人自体は「変わらない」が219校と過半数を占めており、「増加」も144校で、「減少」したのは27校に過ぎない。日高教によると、「(非正社員の求人は)固定化する傾向にあり、ほとんどの道府県の就職担当者が派遣・請負の増加などを指摘している」という。