1,182円の賃金改善を獲得/有志共闘

(調査・解析部)

[労使]

UIゼンセン同盟やJAMなど連合に加盟する8産別で構成する「有志共闘」(座長:渡邊和夫・フード連合会長)は14日、08年春闘の交渉状況を公表した。共闘に登録した単組のうち、平均賃上げ方式で妥結した44単組の賃金改善分(定期昇給相当分を除く)は、単純平均で1,182円(加重平均で1,060円)となり、前年実績(32単組で1,040円)を142円上回った。

有志共闘は、自動車、電機といった外需のウエートが高い産業の交渉に依存せず、内需型産業の組合が主軸となって独自の相場をつくろうと、07年春闘でUIゼンセン同盟、JAM、サービス・流通連合、JEC連合、フード連合、紙パ連合の6産別が旗揚げした共闘組織。2年目の取り組みとなる今春闘は当初、セラミックス連合を加えた7産別で始動し、途中で地域公共連合・自治労全国一般協議会も加わった。

共闘の具体的な進め方としては、金属労協(IMF・JC)傘下の大手金属労使の交渉に影響を受けず、自力で交渉して今月14日までに回答を引き出せる単組を事前に登録。共闘間や産別内で、連携を取りながら相乗効果を高めることで、後につづく中堅・中小組合の指標となる回答の引き出しをめざしてきた。今春闘では84単組(昨年は54単組)がエントリーした。

その結果、平均方式で妥結した44組合が単純平均で1,182円の回答を確保。昨年比で142円の増加を果たした。定昇も含めた賃金改善では、76単組の単純平均で6,563円(加重平均で6,758円)だった。

個別の回答状況をみると、化学関係ではロート製薬の2,179円や大橋化学工業の3,666円などが高水準の賃金改善を獲得。金属機械では山武の1,500円やコマツユニオンの2,100円、日本輸送機の1,562円などが目立つ。また、食品では、定昇込みの回答で賃金改善分の表示はないが、すかいらーく(7,312円、2.55%)、サイゼリア(7,500円、2.83%)、リンガーハットグループ(7,454円、2.65%)、元気寿司(7,506円、2.80%)などが7,000円強の回答を引き出した。

渡邊・フード連合会長は回答状況を受けて「小幅ながらも前年実績を上回る結果になった。それぞれの産別・単組が、責任を自覚し、使命感を強く持って精一杯交渉に臨んだ成果だ。引き続き、交渉する中小単組が粘り強く交渉して、労働者の納得できる回答の引き出しを期待する」と話した。