7年ぶりのベア実施600円で妥結/日本郵政、民営化後初の春闘で

(調査・解析部)

[労使]

日本郵政グループ(西川善文社長)は13日、民営化後初の今春闘で、日本郵政グループ労働組合(JP労組、約22万人)に対し、前身の郵政事業庁・公社を含め7年ぶりとなるベア600円を回答し、妥結した。労組側はベア1,500円を要求していたが、4事業会社を含む5社一括の同額回答を引き出したことや、月給制契約社員から正規社員への具体的な採用意向が示されたことなどを評価し、合意に至った。

5社一括同額回答で妥結

JP労組は、民間労組として初の今春闘に当たり、(1)基準内賃金について一人平均のベア1,500円(2)98年以降下がり続けている一時金について0.1カ月増*1 となる年間4.5カ月(3)時間外、夜間、休日の割増率の130%、130%、140%への引き上げ――などを要求の軸に据えた。ベア要求の根拠としては、07年4月現在で民間企業の平均月給より1,352円低いことをあげ、グループ間の労働条件格差を認めない統一回答を求めた。交渉は分社化後も単一の組織体として活動を継続することから集団交渉方式とした。

その結果、13日の交渉で、(1)グループ社員一人当たりの基準内賃金を600円(ベア)引き上げる(2)一時金は昨年実績プラスαとする*2 (3)時間外労働等の割増率は継続協議とする――ことで妥結。労組側としては要求のベア1,500円とは開きがあるものの、会社ごとに業績見通しにバラつきがある中で、統一回答に応じた経営側を評価した模様だ。

月給制契約社員から正社員へ2,000人登用でも合意

一方、約3.2万人の非正社員をめぐる要求については、(1)月給制契約社員の基本月額のベア1,000円の実現(2)時給制契約社員の地域別基準額20円アップ(3)月給制契約社員から正規社員への採用の早期実現――などを設定。その結果、月給制契約社員についてはベア400円を実施するものの、時給制契約社員の地域別基準額改定は見送り。一方、4月以降順次、時給制から月給制に約5,700人を移行させ、現在在籍する月給制契約社員約1,400人と合わせて、08年度中に約2,000人の規模で正規社員へ登用することでも合意した。

組合としては正社員、月給制契約社員とも、結果として同率でのベアを実現したこと、また要員面でも郵便事業会社、郵便局会社は深刻な要員不足にある中、月給制契約社員から正規社員への本格的な登用への意向が会社側から示されたこと――などを評価した格好だ。

*1 昨年実績「4.4カ月+1万5,000円」を実質的には0.05カ月上回る水準

*2 αは、08年度上半期の各社の経営状況を見た上で交渉により決定。内訳は、夏季手当が2.15カ月+15,000円、年末手当が2.25カ月+α