自動車総連の大手12労組が一斉に要求提出

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連に加盟する大手自動車メーカーなどの12労組が13日、月例賃金の改善を柱とする「2008年総合生活改善」の要求書を会社側に提出した。自動車総連が同日公表した要求内容によると、トヨタ、日産、ホンダなどの賃金改善要求はほとんどが前年同額となった。トヨタ労組は8,400円(賃金制度維持分6,900円、賃金改善分1,500円)、日産は一人あたりの平均賃金改訂額7,000円、ホンダは1,000円の賃金改善を求める。

大手自動車メーカー12労組のうち三菱自工労組は賃金カーブ維持分を労使で確認し、昨年同様に要求を断念したが、その他の大手労組は概ね1,000円から2,000円の賃金改善分を要求している。

※メルマガ本文では要求提出日を(2月)12日としていますが、(2月)13日の誤りです。お詫びして訂正します。

一時金については、トヨタ労組が昨年から3万円減の5.0か月+75万円、日産が昨年を0.2か月下回る6.1か月。ホンダは昨年同月数の6.6か月分を要求した。

記者会見した自動車総連の加藤裕治会長は、自動車総連全体で6年ぶりに具体的な要求数値を設定し、「1,000円以上の賃金改善」を統一要求することについて、「将来に向けて賃金が上がるというサインを社会に向けて示す」との意義を強調。交渉の推移が他産業から注目される自動車産業のポジションの重要性に触れ、「内需中心の成長に軸足を移す」とともに、大手、中小間に存在する「産業内格差是正」を目指すとした。また、日本の自動車産業が国際競争力や生産性の面で優位にあるにもかかわらず、国内製造業の中で賃金水準が高くない現状を踏まえ、「国内トップの付加価値がトップの賃金水準につながるべきだ」との見解を示した。

大手12労組は集中回答指定日を3月12日に設定。中堅・中小、販売など後続組の交渉の促進させるため、月12日から21日までの回答日ゾーンを設け、交渉を追い込む構えだ。

自動車総連大手組合の要求内容
組合名 要求 2007年の要求 2007年の回答
平均賃上げ 一時金(年間) 平均賃上げ 一時金(年間) 平均賃上げ 一時金(年間)
トヨタ 8400円(含む賃金制度維持分) 5.0カ月+75万円 8400円(含む賃金制度維持分) 5.0カ月+79万円 7900円 5.0カ月+79万円(258万円)
日産 平均賃金改定額7000円 6.1カ月 平均賃金改定額7000円 6.3カ月 平均賃金改定額6700円 6.0カ月(213万3000円)
本田技研 1000円 5.0カ月+1.6カ月(6.6カ月) 1000円 5.0カ月+1.6カ月(6.6カ月) 900円 5.0カ月±α(α=1.6カ月)
6.6カ月(246万8000円)
三菱自工 --- 4.0カ月 --- 3.6カ月 --- 3.32カ月(100万5000円)
マツダ 1000円 5.8カ月 1000円 5.8カ月 700円 5.8カ月(184万5000円)
ダイハツ 8100円(賃金体系維持分含む) 5.0カ月+0.8カ月 賃金体系維持分+賃金改善分(1500円) 5.0カ月+0.8カ月 賃金体系維持分+賃金改善分(1000円) 5.7カ月+0.1カ月
富士重工 賃金表改定(原資1300円相当) 5.0カ月 賃金表改定(原資1000円相当) 5.0カ月 賃金体系維持 5.0カ月
スズキ 賃金制度維持+賃金改善分1000円 6.0カ月 賃金制度維持+賃金改善分1000円 5.9カ月 賃金改善として700円 5.9カ月
いすゞ 1000円 5.3カ月 1000円 5.3カ月 500円 5.0カ月
日野 4509円+1500円 5.0カ月+5万円 4463円+1000円 5.0カ月 4463円 4.8カ月
ヤマハ発動機 賃金改善分1500円 6.23カ月 賃金改善分1500円 6.15カ月 賃金改善分650円 6.1カ月

注1. 自動車総連の発表資料を基に作成

注2. 平均賃上げの要求額が「―」の組合は賃金カーブ維持分が労使確認されているため、要求書には記載していない。