向こう2年間で3,000円の賃金改善要求を決定/基幹労連

(調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労働組合で構成する基幹労連(内藤純朗委員長、24万人)は6日、東京・有楽町で中央委員会を開き、「AP(アクションプラン)08春期取り組み方針」を確認した。統一要求として、向こう2年間で1人月額3,000円を基準とする賃金改善を決定。ワーク・ライフ・バランス実現に向けた時間外割増率の引き上げも掲げる。

月額3,000円の賃金改善と時間外割増率の引き上げを要求

基幹労連は06年から2年サイクルで統一要求を組んでおり、今春闘では08,09年度の「2年をひとつの単位とし3,000円を基準とする」賃金改善を求める。ただし、賃金改善の財源配分の仕方については、全員の賃金を一律に底上げするベースアップだけでなく、賃金カーブの是正や特定の階層への重点配分、諸手当の引き上げなども含めて幅広くとらえ、鉄鋼、造船重機、非鉄金属の各部門の判断を前提に、各単組が具体的な内容を決める形を取る。さらに、今回はワーク・ライフ・バランスの実現に向けた長時間労働是正の取り組みとして、時間外割増率の引き上げも要求。連合方針に沿い、月45時間以下の割増率を30%、45時間を超える部分と休日労働の割増率を50%にそれぞれ引き上げるよう求めていく。

総合大手はわかりやすい結果の追求を

内藤委員長はあいさつで「産別一体で要求を揃えることはもとより、交渉時の連携を密にし、妥結においてもスクラムを組んで目標を達成する」と交渉に臨む決意を示したうえで「先行する組合の妥結内容が後に続く組合の指標となりうるよう、わかりやすい結果を追求しなければならない」と指摘。「総合組合をはじめとする主要組合が、関係する業種別組合の取り組みをいかに支援できるかが重要だ」として、総合大手組合に積極的な情報開示などの協力を求めた。

ワーク・ライフ・バランスの実現についても触れ、「昨今の長時間労働は目に余るものがあり、好調な受注と高操業の中で産業・企業を支える基幹労連の組合員は疲弊している」と強調。「『45時間を超える残業は割増率を50%にする』という従来にない形の要求を起こしたが、これには『36協定で決めた時間外労働を超える長時間労働は許さない』と言うメッセージがこめられている。連合の共闘に積極的に参加し実効をあげよう」と訴えた。

鉄鋼大手を中心に意見表明

議論では、鉄鋼大手組合が交渉に臨む姿勢を表明。「今回、鉄鋼部門として掲げた共通テーマである鉄鋼労働者特有の働き方という点も踏まえ、連続操業を支えるための(交代)勤務に対する諸要求に取り組むことを確認した」(新日鐵労連)、「団塊の世代の大量退職という世代交代のうねりのなか、技術・技能を確実に継承し、意欲に満ちた新しい人材を受け入れていくことが将来を左右する。今春闘では現場力の強化につながる諸制度の充実とワーク・ライフ・バランスの進展を要求する」(JFEスチール労連)、「高い技術力を維持していくために、組合員の多くが従事する交代労働の価値を上げていくことが必要不可欠なので、その改善を求める。さらにワーク・ライフ・バランスや優秀人材の定着・確保を確実なものにする観点から効果的な財源投入を強く主張していく」(神鋼連合)などの発言があった。

今後、大手組合が8日に要求書を提出。3月12日の集中回答日へ向けて、労使交渉を重ねる。