労働基本権の回復に向け、交渉の積み上げを/自治労中央委

(調査・解析部)

[労使]

自治体の地方公務員や公共民間サービス労働者等でつくる、自治労(岡部謙治委員長、約95万人)は1月31日、2月1日の両日、都内で中央委員会を開き、08春闘期にすべての単組が取り組む重点課題を、 (1) 設定水準に基づく賃金要求 (2) 入札改革及び公契約条例の制定 (3) 自治体・企業内最低賃金の協定化 (4) 総労働時間縮減のため時間管理の協定化――等とする、当面の闘争方針を決めた。

全国一般評議会は定昇込み平均9,000円以上を要求

自治労の春闘には、給与勧告制度下での賃金水準の改善をめざす、自治体の地方公務員を中心とする取り組みと、民間と同様に労使交渉で決着を図る全国一般評議会や地域公共サービス民間労働者の取り組み――の2つがある。

中央委員会では、公務部門の取り組みについて、政府の専門調査会や懇談会で、一定の非現業公務員に対し、労働条件を労使で決める「協約締結権」を新たに付与するとともに、人事院による勧告制度を廃止する旨の報告がなされていることを確認。その上で、労働基本権の回復を確実にするため、春闘期は労使交渉の実態を積み上げ、交渉力の強化に努める方針を決めた。

具体的な取り組み内容としては、公務・民間の地域公共サービス労働者を横断する賃金形成に向け、代表職群(行政職、技能労務(現業)職、看護職、福祉職)と、年齢ポイント(30歳、35歳、40歳)ごとに、給料月額(基本給)水準で、実在者賃金の1%以上の改善を求め、例えば行政職標準労働者の35歳基本給では、30万4,700円以上への到達をめざす。

また、全国で45万人超にのぼる臨時・非常勤職員への対応につながる、地域公共サービス労働者を横断する自治体・企業内最低賃金を形成するため、月給15万1,300円以上(日給7,600円以上、時給950円以上。国公行(一)1級13号相当額)の協定化も進める。

一方、民間部門における交渉については、全国一般評議会(旧・全国一般)の方針として、連合が提起する中小労働者の賃上げ目標7,000円(賃金カーブ確保相当分4,500円+賃金改善分2,500円)を基礎にしつつ、「定昇込み平均賃上げ9,000円以上を要求、10,000円を中心に獲得」をめざすことなどを決めた。

今春闘ではこのほか、公共サービスの質とそれを支える労働者の処遇改善を求める観点から、 (1) 民主党や連合と連携し、「公共サービス基本法」(仮称)(詳細は2月中旬に発表)の今通常国会への上程をめざす (2) 秋田、京都、山口県本部をモデルケースに、入札制度改革及び公契約条例の制定に取り組む――方針も決定した。

都市交、全水道との完全統一は「自治労」にこだわらない新名称で

中央委員会ではまた、昨秋、「地域公共サービス労組連合会」の結成で、連合への加盟を一本化した都市交(3万1,000人)、全水道(2万8,000人)との組織統合に向けた取り組みについて、岡部委員長があいさつで、「2010年の完全統一に向け、これまで以上に緊密な連携で歩んでいこう」などと強調。その上で、「その意味で、新組織の名称には、自治労ではなく新たな産別名を選択する基本姿勢を提起した。合意形成をめざしたい」などと述べ、新組織の名称については「自治労」にこだわらない方針を提起して組織討議をスタートさせ、今夏の定期大会で合意形成を図りたい意向を明らかにした。

新組織の名称をめぐっては、対等合併を明確にしたい都市交、全水道サイドと、自治労の名称を尊重したい組合員との調整が懸案課題になっている。

社会保険事務所の非常勤職員めぐり労組協議会を結成

自治労は中央委終了後、各県の社会保険事務所で働く非常勤職員について、1月28日に新たに、「社会保険庁非常勤職員労働組合全国協議会」を結成したことを明らかにした。

それによると現在、社会保険庁の各県事務所には、約1万1,000人の非常勤職員が働いており、社会保険庁の解体が方針づけられる中、その雇用や処遇の行方は不安定な状況にある。そのため自治労は、同協議会への参加を呼びかけるとともに、これを機に雇用確保の取り組みを強める考えだ。