「なくせ貧困!」をスローガンに/全労連の春闘方針

(調査・解析部)

[労使]

全労連(坂内三夫議長)24,25の両日、都内で評議員会を開き、「08年春闘方針」を確認した。賃金については「誰でも月額1万円、時間給100円」の賃上げを求める。「なくせ貧困!」などをスローガンに掲げ、「時給1,000円」の最低賃金実現の取り組みも行う。

坂内議長はあいさつで、「この5年間、企業利益や役員報酬、株主配当が2倍、3倍に膨れあがったが、その一方で労働者の賃金は9年連続して減り続け、生活保護にも満たない年収200万円以下の労働者が1,000万人を突破するなど、労働者がボロキレのように使い捨てられている」と指摘。「格差や貧困は労働者だけでなく、すべての国民各層に広がっている。まともな賃上げと安定した雇用を勝ち取ることは08春闘に課せられた労働組合の社会的使命だ」と訴えた。

方針は、「大企業が利益を更新する一方で、労働者の貧困化が進行し、地域や企業規模間、雇用形態などで格差が拡大し続けている」なかで、「労働者だけでなく、中小・零細企業業者や自営業者なども『痛み』を強いられ、健康で文化的な「最低限の生活の維持さえ困難になっている」などと説明。そういった状況を転換し、要求実現の展望を切り開こうと呼びかけている。

賃上げ要求では「誰でも月額1万円、時間給100円」の引き上げなどを提起している。最低賃金に関しては、改正最低賃金法の成立も踏まえ、同法の早期施行を求めるとともに、全国一律最低賃金制度と「時給1,000円」の最低賃金の実現をめざす。また、非正規労働者の均等待遇の実現や、労働者派遣法の抜本改正を求める運動も強化する。

闘い方は、07年春闘を教訓に、要求討議の徹底と要求書の提出、ストライキを背景とした回答引き出しという原則的な取り組みを重視。全組織で春闘討論集会を開催し、組合員との「総対話運動」も追求する。

なお、評議員会では、パート労働者や派遣社員などの非正規労働者の要求実現と組織化を進める「全労連非正規雇用労働者センター(仮称)」の設置も発表された。3月に準備会を立ち上げ、7月の定期大会で正式に発足する。学者・研究者や弁護士などのサポーターの協力を得て、政策提言や労働相談、実態調査、情報発信などの活動を展開する考えだ。