大手美容室チェーンが未払い残業代を支給

(調査・解析部)

[労使]

大手美容室チェーンAsh(アッシュ)と、子会社のハイパーが昨年、従業員338人に対し、約4,800万円の未払い残業代を支払った。個人加盟の労働組合である首都圏美容師ユニオンが17日に記者会見を開いて明らかにしたもの。

会社側の発表によると、足立労働基準監督署から昨年6月、アッシュ北千住店で従業員1人を対象とする未払い残業代などの支払いの是正勧告を受けたことから、この是正を実施するとともに直営店舗の全従業員の勤務状況を調査。昨年10月までの2年間に、不適切な勤務時間管理に起因する従業員338人の未払い残業代約4,800万円があったとして、11月30日付で支払ったという。今後についても、「すべての店舗において労働時間の管理を徹底する」などとしている。

これに対し、同ユニオンの柳勝也代表は、「今回、アッシュが残業未払い金を支払ったことは、美容業界としても大変大きなことだが、まだ序の口。美容業界ではほとんどが、このような状態なので、今後、さらに改善していきたい」と述べた。

また、会見に同席した首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は、「美容業界全体が長時間労働・低賃金の無法状態に置かれており、正社員でもワーキングプア。美容師が労働組合に加入し交渉して残業代を支払わせたことの意義は大きい」と強調する一方で、「いい加減な根拠に基づいて支払われたのが今回の金額だ」と指摘。「教育費などの不透明な天引きも続いており、引き続き問題にしていく」などと話している。

首都圏美容師ユニオンは、アッシュに勤務する美容師の柳代表らが昨年10月、美容業界の長時間労働や低賃金などの労働条件の改善をめざして結成。直営店舗やヘアカットショーの会場前での宣伝行動などを行っている。