08春闘、労働分配率の改善を/連合高木会長

(調査・解析部)

[労使]

連合の高木会長は21日、報道各社との合同インタビューに応じた。今春闘では労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)の改善を経営側に強く訴えるとともに、非正規労働者の待遇改善や時間外労働割増率の引き上げなどに重点を置いて取り組む姿勢を強調した。

賃上げは経済改善の処方箋

高木会長は「労働分配率は下がり続け、ピーク時を10数%下回る水準まで落ち込んだ」と指摘。現在の経済情勢改善の処方箋は、労働者への配分を増やして賃上げを実施し、物価高や可処分所得の減少で停滞している個人消費を回復させることだと訴えた。また、日本経団連が「10年以内に世界最高の国民所得水準を達成する」との目標を設定したことについて、「賃金を抑えていて、その実現は難しい」と述べ、賃上げに経営側の同意を求めた。同一産業の企業でも業績によって賃金にバラツキが生じることに対しては、「『同じ産業で同じ仕事をしていれば賃金も同じ』が原則だが、業績が悪く緊急避難的なところが出るのは、ある意味是認せざるを得ない」と語った。

非正規雇用の処遇改善は急務

非正規雇用をめぐっては、「格差、二極化で社会は傷んでいる。その根本に非正規雇用の問題がある」と述べ、パート・派遣労働者などの処遇改善が急務だと訴えた、連合では来月にも、労働者派遣の業界団体や主要派遣会社に対して申し入れを行う。

労働者派遣法は特定の企業だけに労働者を派遣することを「専ら派遣」として禁じている。高木会長は、親会社やグループ企業だけに労働者を派遣する派遣会社が「専ら派遣」を行っている実態があるのではないかと問題視。これは親会社が本来自社で雇うはずの従業員を、グループ内の特定の派遣会社から派遣労働者として受け入れる形に代えているものであり、「同じ仕事なのに『雇用形態が違うから』と言って安く使う。脱法行為、姑息な手段だ」と批判した。こうした派遣労働者の処遇改善については、親会社などで交渉相手となるそれぞれの組合が取り組む。

割増率アップで時間外労働の抑制を

連合は時間外労働割増率について、「中期時短方針」で時間外50%、休日100%に引き上げる目標を掲げている。今春闘ではこの目標を堅持しつつ、実現に向けた第一段階として、月45時間未満の時間外労働の場合は30%、45時間を超える場合は50%にするなどの要求を設定。16産別組織が「割増率共闘」を組み、実現に向けた運動を進める。高木会長は「日本の割増率は世界でも最低の水準にある。過重な労働時間を抱える職場では、ワーク・ライフ・バランス、ディーセント・ワークを実現できない」と話し、割増率を高めることで時間外労働を抑制し、仕事と生活の調和をはかる必要性を強調した。