初の統一要求「2,500円以上の賃金改善」を決定/JEC連合

(調査・解析部)

[労使]

石油、化学関係などの労組でつくる日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合、17万人)は17日に都内で開いた中央委員会で、2002年の結成以降初めて、産別として賃上げについて統一要求することを確認し、要求基準を賃金構造維持分4,500円に月例賃金の改善分「2,500円以上」を加えた7,000円以上とする2008春季生活闘争方針を決めた。

初の産別統一要求

JEC連合は結成以来、石油、化学、医薬化粧品などの業種別部会活動を運動の柱としてきたため、春闘要求については、部会ごとの設定にとどめ、産別組織としての統一要求は見送ってきた。昨年夏の定期大会で春闘におけるこうした運動スタイルを転換して、「産別方針」を提示する方向を確認し、検討を進めてきた。

この日決めた闘争方針の「基本的な考え方」では、冒頭に「JEC連合創設以来、春季生活闘争を各種部会で取り組んできた。本年度は、同じ業種で働く者が集まり取り組んできたことの良さを生かしながらも、JEC連合として、化学・エネルギーで働く者の連帯をより強めていくことを目指して、JEC連合全体として取り組む」と明記。加盟する連合の闘争方針に準じた項目を要求しつつ、これまで以上の加盟組合からの情報開示を要請し、情報の共有を図りたいとしている。とくに昨年旗揚げされJEC連合も参加する内需関係産別による「有志共闘」に積極的に取り組み、相場形成の一翼を担いたいとしている。

「割増率共闘」にも参加

また、賃金カーブ維持の出発点として重視する初任給についても水準確保に取り組むとし、JEC連合の調査に基づき、高卒の中位数で16万3,000円、大卒・同20万3,000円、大学院卒・同22万円などを設定している。また、格差是正の取り組みとしては、年齢別最低保障賃金や企業内最低賃金の協定化を求める。

さらに、今季交渉で連合が旗揚げした「時間外割増率共闘」にも参加。連合方針の時間外50%、休日100%の実現に努めつつ、「当面はすべての組合が、時間外35%、休日50%、の達成をはかる」としている。

賃上げの要求基準として、単組は定昇などの賃金カーブを確保したうえで、連合が提起する中小地場の賃金引き上げ目安である「2,500円以上の月例賃金改善」(組合員平均)を設定。賃金体系が未整備な場合は、賃金構造維持分4,500円を加えた7,000円以上を要求基準に掲げた。

JEC連合は、2002年10月に新化学、石油労連、全国セメント、化学リーグ21が既存組織を解散し、結成された化学・エネルギー産業関連で最大の産別。化学総連と甘味労協がブリッジ組織として参加し、これまではネットワーク型の産業別組織として運動を展開してきた。