「昨年同水準もしくはそれを上回る賃上げ要求で」/金属労協08闘争方針

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC、200万人)は6日、東京・日暮里で第50回協議委員会を開催し、来春闘に向けた賃上げや労働時間短縮などの要求の枠組みを示す2008年闘争方針を決定した。賃上げ要求では、金属労協全体として「賃金改善」に取り組むことを確認。あいさつで加藤裕治議長は要求内容について「昨年水準もしくはそれを上回ることを念頭に要求設定を」と要請した。

初めてグループ・関連企業を含めた労使協議を盛り込む

冒頭のあいさつで加藤議長は、賃上げ要求のポイントについて、 (1) 一昨年から復活した賃金改善の流れをさらに加速していく (2) 「おおくくり職種別賃金」の形成を意識し絶対水準を重視 (3) 昨年水準もしくはそれを上回ることを念頭にJC共闘を強く意識した要求設定――の3点を強調。方針では統一的な賃上げ要求水準は明記していないが、「金属労協全体として『賃金改善』に取り組む。グループ・関連企業、取引先も含めた金属産業全体の労働条件の魅力を求める観点から、中堅・中小労組の格差改善を図るため、賃金改善に積極的に取り組む」などとしている。

金属産業にふさわしい賃金水準の実現をめざした、「おおくくり職種別賃金」の取り組みでは、基幹労働者(技能職35歳相当)のあるべき絶対水準として、 (1) 目標基準(めざすべき到達水準)基本賃金で33万8,000円以上 (2) 標準到達基準(標準的な労働者が到達をめざす水準)同31万円 (3) 最低到達基準(全単組が到達をめざす水準)標準到達基準の8割程度――の3つのポイントを設定している。一時金要求は年間5カ月を基本に最低でも4カ月確保を目指す。また、中小の底上げに向けた取り組みとして07春闘から着手した中堅・中小の個別要求や回答状況の公表について08闘争ではさらにてこ入れし、前回134組合だった公表実績を、150~160に増強する考えだ。

労働時間関係では、年間総実労働時間の短縮に向けて、時間外労働の削減に重点を置き、36協定特別条項の運用厳格化による時間管理の徹底とあわせて、時間外割増率の引き上げを求める。ただし、秋の協約改定で扱う組合もあるなど、春の闘争で足並みを揃えることができない事情もあり、産別・単組の実態を踏まえて取り組むとしている。

方針で初めて「賃金改善の波及効果を高めるため、グループ・関連企業等を含めた賃金改善に関する諸課題について労使協議会を行う」と明記した点が注目される。親企業と下請けの取引関係のあり方について08闘争の中だけで議論が進展することは困難が予想されることから、経営課題を議論する労使協議会などの場で通年的に扱うことも想定している。

構成組織も賃上げに積極姿勢示す

協議委員会では構成組織から決意表明があり、「人への投資として月例賃金の改善を求める。時間外割増にも取り組む」(基幹労連)、「昨年より目線を上げてすべての組合が賃金改善を要求する。連合の割増率共闘に参加はしないが、個別の団交・協議の場で議論していく」(自動車総連)、「賃上げ要求は昨年と同程度を念頭に絶対額の引き上げによりこだわる。1カ月45時間超と休日の割増率引き上げに積極的に取り組む」(電機連合)、「柱は賃金改善と時短。(賃金構造維持分を除き)2,500円以上と時間外割増率月45時間超と休日50%を組織内に提起している」(JAM)などの発言があった。