賃上げと時間外割増率の改善へ/JAM討論集会

(調査・解析部)

[労使]

機械金属の中小企業を多く組織するJAM(河野和治会長)は3,4の両日、静岡県熱海市で「2008春季生活闘争中央討論集会」を開き、来春の春季生活闘争方針(春闘方針)について討議した。JAMの春闘方針の柱は、 (1) 「賃金構造維持分+2,500円以上」の賃上げ、 (2) 一時金年間5カ月基準、 (3) 月45時間を超える所定外労働時間の割増率50%への引き上げ、すべての休日割増の50%以上への引き上げ――など。賃上げについては、連合の中小共闘と同水準の取り組みとしており、所定外の割増賃金率では連合目標の時間外50%、休日100%をめざしての段階的な要求となっている。闘争日程については、統一要求提出日を2月19日とし、統一回答指定日は加盟する金属労協の集中回答日に予定している3月12日と前日の11日の2日間としている。

「まず月例賃金改善の取り組みを」

あいさつした河野会長は、「企業は人で成り立っており、競争力強化や生産性の向上には、働く者のモチベーション向上が不可欠であり、人への投資が必要である」と述べて、月例賃金の引き上げによる賃金改善の必要性を訴えた。また、所定外の割増賃金率について、「ワーク・ライフ・バランスの観点から、過重労働の抑制と、労働基準法の改正論議を後押しし法案修正させる意味からも連合全体で取り組む「割増率共闘」に参加し、労働時間短縮、とくに時間外割増率の引き上げに取り組む」ことを強調した。

討論では、賃上げについて「賃金改善分(2,500円)の中身が明確でない。交渉では根拠付けがが必要だ」「状況を考えると、2,500円は高いのではないか。実感が伴わない」「連合中小共闘の1%=2,500円はマクロの水準としては理解できるが、単組レベルの交渉では明確な根拠が必要」など、賃上げ水準の積み上げ根拠の明確化を求める声が多かった。

また、経営側が業績分は一時金に反映させる姿勢を強めていることから、「経済のグローバル化などで賃上げが難しい状況の中で、一時金のウエイトを高く考えるなどのバリエーションがあってもいいのではないか」などの意見が出たが、齋藤書記長は「まず月例賃金をきちんと取り組むことが大切だという考えを堅持したい。成果配分として5カ月以上取れるところは取って欲しいが、一時金だけ取れればということは考えない」と強調した。

連合でも取り組まれる割増賃金率に関しては、「いきなり50%は経営側の反発が大きく難しい」「統一闘争でできるのか」など、取り組みの難しさ指摘する声が多く、産別や連合の強い指導力が求められる形となっている。

「労働時間管理に関する協定」締結の要求も

賃上げ方針では、平均賃上げのほかに、個別賃金要求もかかげており、高卒直入者30歳で26万円、35歳で35万5,000円を標準労働者要求基準とし、底上げを図る「JAM一人前ミニマム基準」では30歳24万円、35歳27万円、40歳29万5,000円などの基準を示している。また、企業内最低賃金協定の締結も盛り込んでおり、時間額で法定最低賃金を50円以上上回ることや、「JAM一人前ミニマム基準」の8割水準などを基準として示している。

一時金要求については、年間5カ月基準とともに、最低到達基準として年間4カ月を掲げている。

労働時間に関しては、所定外の割増賃金率のアップとともに、所定労働時間を2,000時間以下にする時間短縮の取り組みや、適切な時間管理を促進するための「労働時間管理に関する協定」の締結を要求に掲げている。