取引関係のゆがみが中小企業の経営を圧迫/連合総研調査

(調査・解析部)

[労使]

7割の中小企業で、過去5年間に取引先から単価切り下げの要請があり、うち3割が要請を丸呑みしていたことが、連合総研と連合が共同で実施した「中小企業における取引関係に関する調査」で明らかになった。調査は、中小企業が抱える取引先との関係における課題を明らかにするため、今年9月に実施。従業員300人以下の約2万社(経営者)を対象とし、速報として11月19日時点で回答のあった3,270社の回答を集計したもの。

「原材料価格の上昇」「単価下落・引き下げ要請」が課題に

それによると、企業が現在、取引において直面している問題を3つあげてもらったところ、第1位に「原材料など仕入れ価格の上昇によるコストアップ」(64.0%)があがり、「製品やサービス単価の下落や引き下げ要請」(51.1%)、「主な取引先からの受注の減少や取引の打ち切り」(34.6%)が続いている。

その原材料費価格の高騰が取引に影響を与えているかを聞いたところ、「影響がある」と回答した企業は83.9%にのぼる。その影響への対応については、「価格に転嫁できない」が43.9%でトップ。以下、「今後価格に転嫁したい」(24.2%)、「価格に転嫁したい」(16.1%)、「企業努力で吸収」(15.8%)の順となるなど、価格に反映しにくい事情が浮かび上がった。

7割超で「価格・単価の引き下げ要請あり」

過去5年間で取引先から価格や単価の引き下げ要請があったかとの設問に対して、「あった」が73.1%に達している。「無かった」は4社に1社(24.7%)にとどまった。要請があったと回答した比率が高い産業は、「輸送用機械」(85.8%)と「電気機械」(83.9%)となっている。「要請があった」と答えた企業のうち、「応じた企業」は58.5%にのぼる一方、「断った企業」は13.1%に過ぎなかった。「応じた企業」のうち、「要請に近い数字で応じた」が3分の1(31.7%)だったが、産業別にみると、運輸業で比率が高くほぼ5割(49.8%)が応じている。

対応策として36.8%が賃上げ見送り・一時金見直し

価格引き下げの際にとった対応策をみると、第1位が「作業工程の工夫・改善」の63.2%で、次に「賃上げの見送りや一時金の見直し」が36.8%で続く。単価の下落幅や相違による営業利益の増減についても聞いており、単価が20%以上下落した企業の7割で利益減となり、当該企業のうち20.7%で、賃上げ・一時金を見送っていた。

また、「休日前発注・休日後納期」「就業後発注・翌朝納品」といった「無理な納期がある」とした企業は68.5%を占める。これに対して何らかの「残業」で対処している企業は8割(80.6%)にのぼるなど、取引関係上の問題が労働時間にも大きく影響を及ぼしている。