賃金底上げと非正規の処遇改善、時間外割増率引き上げを/連合討論集会

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長、650万人)は1,2の両日、都内で「2008春季生活闘争中央討論集会」を開き、月例賃金の底上げや非正規労働者の処遇改善、所定外労働時間の割増率の引き上げなどを取り組みの重点課題とする08年春季生活闘争の基本構想案について討議した。構想は議論を踏まえ、12月4日の中央委員会で春闘方針として正式決定する。

連合春闘が社会に大きなインパクトを

冒頭のあいさつで高木会長は、「格差社会がいわれるなか、連合春闘が社会に大きなインパクトを与えられるようにしていかねばならない」としたうえで、08年闘争の重点課題の考え方を示した。

低落傾向に歯止めがかからない労働分配率について「企業の付加価値が増えた分、労働者にきちんと配分することは当然のことだ」と指摘。「個別企業の論理は承知しているが、マクロでみると自制的で物わかりのよい要求が社会にとってマイナスの作用を及ぼすとの批判もある」などと述べ、賃金改善への積極的な取り組みを訴えた。

大手と中小の規模間格差も指摘し、「中小共闘が頑張っているが、未だに格差拡大は止まっていない」として、中小共闘に参加する構成組織に対し「周りは助けてくれない。自分たちの意志、交渉における努力が最大ポイントだ」と奮起を促した。

先の大会で最重要課題に掲げた非正規労働者の処遇改善に関しては、「一緒の職場で働く非正規労働者を正規雇用化して欲しいが、それが(雇用)期間限定では効果も今ひとつだ」と述べ、期間の定めのない雇用への切り替えを主張。「(正規雇用化に)原資を使うと、正社員に回ってくる分が減るとの議論もあるが、労働条件格差の大きい人たちが職場で増えると、自分たちにも回ってくる」と、産別や単組に理解を求めた。

また、時間外・休日労働の割増率にも触れ、「時間外50%、休日100%の割増率をめざす連合の中期方針について『あまりにも高いハードル』との議論もあるが、これは世界の常識だ」と改めて主張。「ステップ論があってもいいが、筋道立てた要求をするべきだ」などと述べ、全ての組合が割増率アップの要求を掲げる重要性を強調した。

この他、法定最低賃金についても「まだ先進国で一番低い。1,000円を下回る国も日本、アメリカなど一部の国しかない」と、さらなる底上げを求めていく考えを示した。

「マクロ経済に影響力を発揮」 

基本構想案は、春闘の役割として「社会的な分配のあり方に積極的に関与し、内需拡大などマクロ経済への影響力を発揮する」として、「労働側に実質1%以上の配分」と「非正規労働者を含むすべての勤労者への適正な成果配分」の実現をめざすと主張する。マクロ経済にインパクトを与えるといった、目に見える結果に結びつく取り組みを重視している点が特徴。非正規の取り組みとして、初めて基本スタンスのなかで企業内最低賃金協定の締結を盛り込んだ。

すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)として、 (1) 賃金カーブを維持したうえでの賃金改善 (2) パート労働者等も対象に含めた処遇改善 (3) 企業内最低賃金協定の締結 (4) 長時間労働是正のための総実労働時間の短縮 (5) 時間外・休日労働の割増率の引き上げ──の5点を掲げている。

討論では、「大手職場をみると、派遣社員が仕事内容に合わないと外されたりしている。非正規労働者にも暖かい手をさしのべられるようにして欲しい」(連合青森)「中小の賃金は今、勤続20年40歳で月給22万円程度。闘争は連合が全体をリードして、月例賃金重視で進めて欲しい」(UIゼンセン同盟)、「未組織労働者からの労働相談には、「時間外・不払い労働」で(残業代が払われず)、始終業の時間管理ができていないというものが多い。この管理なくして長時間労働の撲滅にはつながらない」(連合宮崎)などの意見がでた。