国内最大の単一労働組合「JP労組」が誕生/JPUと全郵政が統合

(調査・解析部)

[労使]

日本郵政公社労働組合(JPU=旧全逓)と全日本郵政労働組合(全郵政)は22日、臨時大会で両組織の解散と統合を決定した後、「日本郵政グループ労働組合」(略称・JP労組)の結成大会を開いた。新組織は組合員22万600人(うち非常勤3万1,737人)を擁する国内最大の単一労働組合となり、初代委員長に山口義和・前全郵政委員長(58歳、近畿)、書記長に難波奨二・前JPU書記長(48歳、中国)が選出された。

対立から融和へ――「戦後労働運動の決算」

山口委員長はあいさつの中で、「全郵政(旧同盟系)とJPU(旧総評系)は、運動論の違いから40年以上にわたる長く不幸な労々対立の時代を歩んできたが、郵政事業が民営・分社化されたいま、過去の歴史的教訓を踏まえた上で、友愛の精神に基づき自由にして民主的な労働運動を、強力に推進することが重要だ」などと強調。そのうえで、今後1年以内に行う、地方支部レベルの組織統合が大きなハードルとなるだけに、「対立から融和へ、意識・文化・歴史等に加え、基本的な活動姿勢の違いを乗り越えて、緩やかかつ速やかな組織の融和・融合を図る必要がある」などと訴えた。

来賓あいさつした連合の高木剛会長も、「組織統合が実現したことは、画期的なことであり、戦後労働運動の決算だ。同じ郵政職場の中で、激しい組織競合を続けてきた両者が統合を決めるうえでは、多くの難題の解決に向けて互譲の精神で取り組んだことだろう。先見性に富んだ英断を高く評価したい」などと述べた。

「友愛、創造、貢献」をシンボル・フレーズに

新組織は、「シンボル・フレーズ」を「友愛、創造、貢献」とし、「綱領」に (1) 自由で民主的な労働運動 (2) 人間の尊厳と社会正義を基調に、左右の全体主義を排除する (3) 公正・透明な組合民主主義に徹する (4) 組合員の雇用の安定と労働諸条件の改善に向け、合法的な手段で運動を推進 (5) 労使の信頼関係に立脚し、産業民主主義の原則で生産性運動を推進 (6) 国内外の労働者組織との連携で、世界の恒久的平和のために努力――の6本を据えた。

また、「運動の基本目標」に、 (1) 郵政関連企業すべてに働く者の雇用安定と生活向上 (2) 生産性運動の精神で、郵政関連企業の成長・発展に寄与 (3) 労働者の社会的地位の向上をはかり、平和で公正な福祉社会の実現に貢献――などを置くほか、「めざすべき労働組合の姿」として、 (1) 日本郵政グループ内労働者の単一組織として30万人組織をめざす (2) 将来的には、郵政関連事業を主体により広範な産業別組織の結成をめざす (3) 連合やUNIの仲間と連帯し、影響力のある組織をめざす――を掲げた。

新組織の事務所は、台東区・東上野に置く。