国内最大の単組「JP労組」が誕生へ/JPU大会で組織統合を決定

(調査・解析部)

[労使]

郵政公社の職員でつくるJPU(菰田義憲委員長、13万6,000人)は19~21日、沖縄県・那覇市で定期大会を開き、10月の民営・分社化を機に組織を解散し、全郵政(8万4,000人)と新たに「日本郵政グループ労働組合」(略称・JP労組)を結成する方針を可決した。組織統合を含む運動方針案に賛成票を投じた割合は約97%(有効投票数338中賛成328、反対10)。全郵政側も先週の大会でほぼ同じ割合の信任票を得ている。競合する両組合で、組織統合の承認が得られたことにより、10月22日に国内最大の単組(約22万人)が誕生する見通しとなった。

「友愛と互譲の精神で」

あいさつした菰田委員長は、全郵政に対する過去の運動総括を経て、今大会でJP労組を結成する組織統合方針の提起に漕ぎ着けたことに触れ、「感無量の思いとともに万感胸に込み上げるものがある。1965年の分裂以来、本当に長い年月が流れたが、労々間の対立は事業にとっても大きな損失だった」などと振り返った。そのうえで、「郵政事業が民営・分社化されようとする今こそ、過去の歴史的教訓を踏まえた上で、友愛と互譲の精神に基づき、未来を切り拓くため、『自由にして民主的な労働運動』を強力に推進することが、新組織に課せられた使命だ」と強調。民営・分社化後に企業間競争激化は避けられず、さらに民間組合として労使自治の関係を構築しなければならないだけに、運動のベクトルを合わせることが重要になるとの認識を示した。

大会では、新組織のあり方として、 (1) 「友愛、創造、貢献」をシンボル・フレーズとすること (2) 「産業民主主義の原則に立って生産性運動を推進する」等の柱を盛り込んだ「綱領」を定めること (3) 「自由にして民主的な労働運動」のための新たな教育活動を検討すること――など、全郵政の運動カラーの濃い内容を了承した。とくに、綱領を置くことについては、JPUは97年に「(旧)全逓綱領」を廃止した経緯があるだけに、方針では「日本最大の単一組合である新組織の進路と役割、基本的な運動の方向性を明確に示すことが重要と判断した」として、組合員の理解を求めた。

一方、政党支持や平和、憲法等の国の基本政策の扱いをめぐっては、JPUと全郵政は異なる対応をとってきたが、両者による「組織統合検討協議会」では、民主党を基軸とした政党支持を確認。また、新組織に「国の基本政策に関する検討委員会」(仮称)を設置することで、一定の整理を図っている。

非常勤職員の処遇改善も実現

JPUが3年前の定期大会以降、取り組みを進めてきた非常勤職員の組織化については、今大会までに2万5,000人超の組織化を達成した。これらの非常勤職員の労働条件については、すでに民営・分社化後、「任用」から「有期雇用契約」に転換することを踏まえて、「雇用期間1年の月給制の社員区分の創設」や「時給制契約社員から月給制契約社員、さらには正規社員への登用の明確化」といった新たな人事処遇制度の導入を労使確認している。