10月にJPUと新組織「JP労組」を結成/全郵政定期大会

(調査・解析部)

[労使]

全郵政(山口義和委員長、8万4,000人)は13~15日、東京・港区で定期大会を開き、10月に迫った郵政公社の民営・分社化に合わせて組織を解散し、JPU(旧全逓、約13万6,000人)と新たに「日本郵政グループ労働組合」(略称・JP労組)を結成する方針を決めた。19日から開催されるJPUの定期大会でも、組織統合の方針を確認する予定で、統合が実現すれば国内で最大の単組が誕生することになる。

自由で民主的な労働運動を継承

あいさつした山口委員長は、これまでの経緯を振り返り、「真に組合員の幸せを求めて論議を重ねてきた。組合員の幸せとは、事業の発展と労働条件の維持・向上、私たちの運動の継承であり、先輩の努力を無にしないこと。その結果、質・量ともに組織力を持たなければならないとの結論に達した」などと述べ、統合の必要性を強調した。また、統合が実現すればNTT労組をしのぎ、「単一組織としては日本最大になる」ことに触れ、「国内外から注目されている。労働界の先駆者となって、正しい労働運動を推進していく責務がある。このような環境で失敗は許されない」などと力を込めた。さらに、「分社化に対応した役員配置等を行うには、全郵政の現在の財政状況は耐えられない。統合すれば総体的に組合費の値下げが可能になる。現実の問題としてシビアに判断しなければならない」などと述べ、組織財政面からも統合が必要だと訴えた。

西川善文郵政公社総裁も来賓あいさつし、「運命共同体として共に挑戦していこう。全郵政が常に求めてきた『自由で民主的な労働運動』や『生産性運動』などが、より多くの組合員の支持を得て、これまで以上に発展することを強く期待したい」などと述べた。

組織統合の判断に至るまでの経緯

過去に激しい労々対立の歴史をもつ両組織の統合問題をめぐっては、旧同盟系の全郵政が昨年の大会で、JPU(旧総評系)が過去の運動総括を行うことなどを前提に、「組織統合も視野に検討する」ことを決定。JPUもこれを受け、 (1) 運動理念や行動原理の方向性は全郵政と一致する、 (2) 組合民主主義に徹する、 (3) 対等合併に向けて協議に臨む、 (4) 過去の運動総括は決議機関で明らかにする――などの見解を示したことから、昨年9月に設置された「組織統合検討協議会」で、話し合いを進めてきた。

その結果、両組織は2月の中央委員会で、組織統合する場合は、 (1) 全郵政綱領の精神等に基づき基本理念を構築する、 (2) 5つの新会社すべてに対応する単一組織をめざす、 (3) 組合費の値下げを検討する、 (4) 民主的労働運動を基本に新たな教育活動を検討する――などを盛り込んだ中間報告を了承。さらにJPUが全郵政の要請に応える形で、 (1) 全郵政組合員に対する暴力的な行為等の事実に対し、率直に反省する、 (2) 過去の闘争が社会や事業に悪影響を及ぼしたことや、郵政関係者に精神的苦痛を与えたことに自戒の念を禁じ得ない――などと総括したことから、両大会の合同議案となる「新組織の基本構想」部分を含む運動方針の提起に漕ぎつけた。

新組織の基本理念は「友愛、創造、貢献」

新組織「JP労組」の基本理念となるシンボル・フレーズは、「友愛、創造、貢献」。組織綱領は、 (1) 自由にして民主的な労働運動を指標に行動する、 (2) 左右の全体主義を排除する、 (3) 公正・透明な組合民主主義に徹する、 (4) 産業民主主義の原則に立って生産性運動を推進する――ことなどを含む、6本の柱で構成している。また、中央・地方の専従役員は、両組織から50:50の偶数配置を基本(委員長・書記長はたすきがけ人事)に、中央に設ける「人事調整委員会」(仮称)等で調整。政治活動については、「民主党」を基軸とした政党支持にするなどとしている。こうした内容について、全郵政は「新組織に全郵政運動を継承する枠組みは整った」と判断。15日に行われた採決では、総票数302に対して、賛成277(約92%)、反対18、白票6、無効1――の圧倒的信任を得、組織統合の方向性を固めた。

こうした内容がJPU大会でも可決されれば、両組織で「新組織結成準備会」を発足させ、具体的な統合準備がスタート。両組織は10月22日に開催予定の臨時大会で組織の解散を機関決定したうえで、同日、JP労組の結成大会を開く段取りになる。