07春季生活闘争、「所期の目的達成できず」/連合・高木会長

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長、675万人)は5月31日に都内で第50回中央委員会を開き、07春季生活闘争の中間まとめや08~09年度の「政策・制度要求と提言」などを確認した。連合の同30日時点の集計によると平均賃金方式の賃上げは前年比300円増、一時金も年間0.08カ月の伸びにとどまったことから、高木会長は「労働分配率の反転、付加価値の配分是正といった面では、所期の目的は達せられなかった」と総括した。

07春季生活闘争の中間まとめでは、ここ数年の闘争を振り返り、「06~07年で賃金改善に取り組み一定の成果を引き出した。労働時間の取り組みは、不払い残業の撲滅から長時間労働の是正、働き方の見直しにシフトしつつある。また、正社員だけの待遇改善からパート労働者等の待遇改善に視点を当てた取り組みに変わりつつある」としたうえで、「こうした流れを今後とも引き継ぎ発展させていくことが重要である」と主張する。

個別の取り組みでは賃上げ面について、「反転攻勢の年と位置づけ、昨年に続き賃金改善を獲得したことは、これからの生活改善に向けた流れを作った」と評価する一方、賃金改善の内容が分かりにくく、「中小企業への波及力が弱い」との課題を残したとする。

そのため、連合が闘争の中心に据えた格差是正については、「労働分配率の改善がなされたか、また、中小労組やパート労働者等の格差が是正されたかという点からは不十分な結果と言わざるを得ない」との見解を示している。

パートの取り組みは「飛躍的に前進」

ただし、2年目のパート共闘を中心に、「誰でも時給1,000円」を掲げてキャンペーンを展開したことは、「分かりやすいメッセージを出し、世論喚起につながった」と評価。また、5月末の段階でパートの処遇改善に取り組んだ組合が昨年の2.5倍にあたる2,078組合に達していることから、「飛躍的な前進をみせた」と高い評価を下している。

来季に向けた検討課題としては、引き続き「格差拡大の阻止」を軸に、賃金改善と労働時間の短縮も含めた「働き方の改善」に向けて闘いを組織すると提起。ナショナルセンターの立場から「マクロ経済からみた分配のあるべき姿」を示し、低所得層の底上げに配慮した「社会的メッセージを発していく」としている。また、相場形成・波及メカニズムの強化を図るため、中小企業の実態を踏まえたポイント賃金や、パートの時給水準の比較などの検討を進めるとしている。また、検討中の中期時短方針を踏まえ、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き方の改善を目指した取り組みの検討を深める考えだ。

また中央委員会では、05年10月から2年間で「60万人」の拡大をめざしている組織化計画の集計も発表され、これまでに26万4,842人の組織化を達成した。このうちパート等の非正規雇用が半数にあたる約13万人を占めている。計画終了まで半年を残した段階の目標達成率は44.1%となっている。