勤務医の苛酷な労働条件の改善を/日本医労連が提言

(調査・解析部)

[労使]

日本医労連(田中千恵子委員長、14万7,000人)は24日、「深刻な医師不足を打開するための私たちの提言」を発表した。医師の養成数を増やすことや、医師の緊急配置や紹介派遣システムの構築、労働基準法を遵守した病院勤務医の労働条件の改善などを訴えている。

日本医労連が21府県55施設を対象に行った調査によると、過去3年間に7割の病院で医師が減り、平均4.2人が病院を去った。その結果、現状は平均6.3人が不足しているという。

また、33都道府県1,355人の勤務医からの回答をまとめた実態調査では、30.9%の医師が過労死認定ラインの80時間を超える時間外労働を行っている。ただし、実際に時間外労働の申請をしている医師は4割にも満たず、逆に3割近くは時間外手当を請求していない。勤務医の時間外労働は、数字で示された結果よりもかなり多いことが推察できるという。

さらに、勤務形態別に時間外労働の実態をみると、常勤医の時間外が月平均60.4時間なのに対し、非常勤医(月平均3.2時間)と研修医(同73.3時間)のそれは、常勤医を10時間以上も上回っている。時間外手当の申請についても、研修医の55.4%が「しない」と回答。常勤医では4人に1人、非常勤医も3人に1人が「しない」と答えている。日本医労連本部では、「非常勤は複数の病院を掛け持ちしている結果。研修医は立場が弱く、時間外を申請しにくい状況にあるのではないか」と見ている。

こうした勤務実態を踏まえ、同労連は、 (1) 医学部の定数を当面、最高時(1981年の8,360人)の水準に戻す (2) 国や自治体などが連携して、地域ごとの医師不足数を明らかにする緊急調査を実施する (3) 不足地域への医師の緊急配置や紹介(派遣)システムを構築する (4) 「週の労働時間40時間」や「休日と年休取得の保障」などの労働基準法の遵守を加味して医師の需給数を算出することで、勤務医の苛酷な労働環境を改善する――などの提言を発表した。