中堅・中小企業の回答状況を公表/金属労協、連合

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC、加藤裕治議長)は23日、07年春闘の「中堅・中小登録組合闘争状況」を集計し、公表した。登録した136組合中122組合で回答を引き出しており、このうち96組合が賃金改善を獲得している。

集計によると、23日時点で平均賃上げ額(賃金制度維持分を含む)が判明しているのは72組合。1組合あたりの引き上げ額は5,783円となっている。このうち、賃金改善やベースアップの金額が明らかになっているのは42組合で、その単純平均額は874円だった。

具体的には、自動車総連傘下では、トヨタ系列のデンソーが7,000円(賃金制度維持分を含む)を獲得。電機連合傘下では、ヤマハと村田製作所が1,000円、サンケン電気が1,100円の基幹労働者賃金の水準改善などとなっている。

金属労協が中堅・中小企業の回答内容を公表するのは今回が初めて。各業種や地域で影響力のある組合を登録し、回答額を公表することで、後に続く中小労組に好影響を与えることが狙いだ。團野久茂事務局長は、「(3月14日の集中回答日には)概ね2,000円要求に対して、電機連合を中心に1,000円を確保し、その他の組合もそれと同様の回答を引き出した。今回、それを受けて、中堅・中小組合においても同等の回答を引き出しつつある。今後、全体に波及するよう、さらに取り組みを強めたい」と話している。

一方、連合の30産別が参加した中小共闘の「第1回回答・妥結集計」では、この日までに回答を引き出した488組合(従業員300人未満)の引き上げ額は単純平均で5,165円、2.00%。昨年同期比で226円、0.09ポイントアップした。

これを規模別にみると、従業員100~299人の事業所では、昨年同期比177円増の5,273円、100人未満でも同271円増の5,065円を記録している(いずれも単純平均)。

中小共闘では、企業規模による賃金水準の格差拡大に歯止めをかけるため、賃金カーブ維持分として「4,500円以上」の獲得を呼びかけている。今回、現時点では昨年同期(68.4%)より8.4ポイント多い76.8%の組合がこれを上回っている。回答・妥結状況が昨年より改善傾向にあることが見て取れる結果だ。

中小共闘の小出幸男代表(JAM会長)はこの状況について、「中小共闘を立ち上げて4年経つが、第1回の集計結果が5,000円を超えるのは初めてのことだ」と述べるとともに、「中小を多く抱える有志共闘に参加した産別の委員長が、陣頭指揮を執ってぎりぎりまで交渉するなど頑張った」などと共闘の効果を強調した。

なお、今春闘で柱の一つに掲げたパートの時給引き上げ額は、15.5円(単純平均)で前年より1.9円増えている。