看護師と准看護師の最低賃金制度の新設を/日本医労連

(調査・解析部)

[労使]

日本医労連(田中千恵子委員長)は20日、記者会見を開き、病院で働く看護師と准看護師の待遇改善をめざし、最低賃金制度を新設するよう呼びかけていく方針を明らかにした。同日、岩手や秋田など6県の医労連が、各県の労働局に意向表明書を提出。昨年、申請を行い継続審議扱いの長野を含め、次年度には9県で制度の創設を求めていくという。

日本医労連の調査によれば、看護師の初任給は、最高が25万7,000円、最低は14万4,450円で11万2,500円の格差がある。准看護師の初任給も、最高(21万450円)と最低(12万9,850円)の間には、約8万円の格差が生じている。「看護師不足で、東京の病院が東北に看護師の採用にくるなど、争奪戦が起きている」(日本医労連)ことに加え、非正規労働者の増加や外国人労働者の導入も検討されている現状では、格差を是正して地域の看護師の流出を防ぎ、看護師不足を解決して安全・安心の医療を守るために、医療産別最低賃金の制度化が必要だという。

産別最賃の創設は、昨年から5県(秋田、岩手、山形、福島、長野)の医労連が労働局に申請を行っている。だが、継続審議の福島を除く4県では、最低賃金審議会で「必要性があるとまではいえない」などとして申請を退ける答申を出している。

日本医労連では、「看護師の生活と労働条件を守るためにも、また医療における看護労働を診療報酬上も算定基礎にする上でも最低賃金の新設は必要だ」と主張。次年度は申請の県数を増やして、その必要性を訴えていく考えだ。今月20日に、岩手、秋田、宮城、島根、石川、徳島の医労連、今月中には富山と山口の医労連がそれぞれ各県の労働局に意向表明書を提出するという。