1,000円を超える賃金改善を獲得/有志共闘

(調査・解析部)

[労使]

UIゼンセン同盟やJAMなど連合に加盟する6産業別組織で始動した「有志共闘」(代表:渡邊和夫・フード連合会長)は16日、07年春闘で登録した54単組の賃上げ回答状況を公表した。平均賃上げ方式で妥結した単組の賃金改善分(定期昇給相当分を除く)は、単純平均で1,040円(加重平均で1,233円)。同共闘では、「それぞれが使命感を強く持って精一杯頑張った結果。後続の中堅・中小組合への激励や指導を強めたい」(渡邊代表)などと話している。

有志共闘は、UIゼンセン同盟、JAM、サービス・流通連合、JEC連合、フード連合、紙パ連合の6産別で構成する共闘組織。自動車、電機といった外需依存型の産業ではなく、内需型産業の組合が主軸となり、07年春闘で旗揚げした。金属労協傘下の大手金属労使の交渉に影響を受けず、自力で交渉して今月16日までに回答を引き出せる単組の妥結結果を公表。共闘間や産別内で、連携を取りながら相乗効果を高めることで、後につづく中堅・中小組合の指標となるような回答を引き出すことを目的としている。初年度の取り組みとなる今季闘争では、UIゼンセン同盟の24組合を筆頭に、JAMの17組合やフード連合の8組合など54単組が名を連ねた。

回答状況をみると、流通・サービス関係ではイオンの2,470円やイトーヨーカドーの1,750円、コナミスポーツ&ライフの1,838円など。金属機械では山武の1,500円(30歳個別賃金)や東芝機械の1,500円などが高水準の賃金改善を獲得した。食品でもニチレイの1,500円(30歳個別賃金)や、福留ハムと日清オイリオの1,000円などが目立つ。

また、食品では、定期昇給分込みの回答で賃金改善分の表示はないが、サイゼリア(7,800円、3.01%)、ココスジャパン(8,212円、2.87%)、ジョナサン(7,516円、2.58%)、元気寿司(7,546円、2.89%)などが、定昇込みで7,000円強の回答を引き出している。

各産別の代表からは、「なんとか(1,000円の)基準をクリアした。この結果が今後、中小に大きな影響を与えると確信している」(JAM・小出幸男会長)、「(ヤマ場の)前の週の段階で経営側は『今春闘はベアゼロで行こう』との申し合わせをしたと聞いていたが、その壁を打ち破った」(フード連合・渡邊会長)、「交渉の終盤は、どうしても一時金に走ってしまうが、有志共闘に入った今年は賃金にこだわった結果が成果になった」(紙パ連合・鈴木辰男委員長)などと共闘の相乗効果を評価する声が相次いだ。