賃金改善などを求める要求書を提出/自動車総連の大手労組

(調査・解析部)

[労使]

春闘相場の牽引役を担う自動車総連加盟の大手自動車メーカー労組が14日、「2007年総合生活改善」の要求書を会社側に提出した。記者会見した自動車総連の加藤裕治会長は、「今年の春闘は国民全体の期待が強く、注目も高い。自動車総連として積極的に役割を果たし、期待に応えたい」と述べ、月例賃金の改善と相場波及の実現に強い意欲を見せた。

自動車総連が同日、公表した要求内容一覧によると、トヨタ労組の賃金改善要求は前年を500円上回る1,500円(賃金制度維持分6,900円)。賃金を役割ごとのコンピテンシー(成果に向けて発揮された能力等)の高さに応じて決める報酬制度を導入する日産では、労組は昨年と同じ一人あたりの平均賃金の改定原資として7,000円を要求する。本田技研労組は昨年同様、1,000円の賃金改善を求める。

このほか、業績好調のダイハツ工業とヤマハ発動機の労組が1,500円を要求。マツダやいすゞの労組も1,000円分の賃金体系の改定原資要求を掲げるなど、概ね1,000円もしくは1,500円の改善を求めている。ただし、経営再建中の三菱自工労組は今年も要求を断念した。

一方、一時金については、トヨタ労組が過去最高の「5.0カ月+79万円」を要求。06年度通期の業績見通しを下方修正し、7期ぶりに当期減益となる見通しの日産では、労組は昨年を0.1カ月下回る6.3カ月を要求。本田技研労組も昨年比0.1カ月減の6.6カ月分を要求した。

3月14日の集中回答日に向けて、労組側は攻めの姿勢で臨み、昨年に続く月例賃金の改善を求めている。一方、経営側は「業績反映は一時金で」とのスタンスを崩しておらず、国際競争力の維持を理由に月例賃金の改善には消極的。月例賃金改善の是非が争点となりそうだ。