連合がパート・契約労働者の集い/「誰でも最低1000円の時給」

(調査・解析部)

[労使]

連合は7日、都内で「07春季生活闘争パート・契約労働者の集い」を開き、「誰でも最低1,000円の時給」のスローガンをかかげて臨むパート春闘の取り組みをアピールした。今年から設置した、パートの処遇改善キャンペーン「パートウィーク」(2月5~10日)の一環として行ったもの。集会では、今国会に上程予定の改正パート労働法案の実現に向けた決意表明を行うとともに、パート共闘に参集する各構成組織が、取り組み方針等を報告し、その意気込みを確認した。

「格差の根っこは働き方の違い」

集会の冒頭、あいさつした高木剛・連合会長は、「非典型労働者が1,700万人にのぼり、その多くは年収が200~250万円など、格差に対する不安が拡がっている。格差の根っこには典型・非典型の働き方の違いがあり、それが所得格差を生み出し、生活の格差、ひいては子どもの将来にわたる希望格差へとつながってゆく」などと危機感を表明。

そのうえで、パート等の処遇に大きく影響する最低賃金のあり方に触れ、「米国では最賃の大幅な引上げが検討されている。日本でも最賃法の改正により、来年4月以降は生活保護水準に照らした見直しがなされる。4~5年かかっても、日本も米国同様に取り組んでいかないと、先進国中もっとも最賃水準の低い国というレッテルは免れない」などと述べ、「誰でも最低1,000円の時給」をめざす取り組みが重要だと強調した。

続いてあいさつに立った、桜田高明・パート共闘議長(サービス・流通連合(JSD)会長)は、同共闘の取り組みについて、「安い労働力としての『多様な働かされ方』の節度を欠く拡大は、労組としても、もう見てみぬふりはできないと、遅ればせながら昨年、パート共闘を立ち上げた。よちよち歩きだが、課題提起くらいはできたと思う。しかし同時に、長年のツケの重さも実感させられた。業種ごとに状況が違い、共闘の取り組みにはさまざまな課題があることが分かった」などと分析した。

そのうえで、07パート共闘では、 (1) 時間給絶対額1,000円程度 (2) 上げ幅15円程度 (3) 全従業員対象の企業内最賃協定 (4) 疑似パートの正社員転換か同一労働条件確保――など多様な柱を要求にかかげたことについて、「山への入口はたくさんあっていい。できるところ(方法)から、勇気をもって要求を掲げよう」などと訴えた。

さまざまな処遇改善のアプローチ

集会では、パート共闘に参加する各構成組織の取り組みスタンス等が報告された。同共闘はさまざまな処遇改善のアプローチを認めていることから、産業によって取り組みのポイントが異なっている。

例えば、組織人員の35%が非典型というJSD(商業系)は、企業ごとの均衡待遇概念の基準の整理や、正社員との一体型の制度構築などに力を入れる。また、フルタイム契約社員の多い、サービス連合(旅行・観光系)は、企業内最低賃金の協定化に取り組み、一方、情報労連は、組織化に向けた組合規約の整備や正社員組合員への均等待遇の理解の促進などに取り組むとしている。

このほか、時間給の引上げとしては、民間最大産別のUIゼンセン同盟が、 (1) 昇給・昇格制度がある場合は、制度分とは別に最低でも1%以上 (2) 制度がない場合は、正社員の賃上げ要求率に準じて均衡考慮(正社員と職務も人材活用も同じ場合は正社員同様の3%、30円以上等)――を要求基準に据えている。また、私鉄総連が時給10円以上をかかげているほか、フード連合や全労金、JPU(郵政)なども改善要求に取り組むとしている。