可処分所得の回復に向けベア1%以上を要求/UIゼンセン同盟

(調査・解析部)

[労使]

民間最大産別のUIゼンセン同盟(落合清四会長、82万6,000人)は24日、都内で中央委員会を開き、今季交渉に向けた賃上げの統一要求を「賃金体系(カーブ)維持原資プラス組合員一人平均1%以上」などとする方針を決定した。自動車、電機といった従来の交渉リード役の動向に影響されない産別自決の交渉をめざし、回答指定日を金属労協の集中回答日である3月14日より先行させ13~16日に設定。争議権の確立とともに、今年は時間外労働拒否も視野に闘争を進めることなどを決めた。

「ストライキ、三六協定破棄」も辞さない覚悟で

あいさつした落合会長は、「社会保障負担の増加や定率減税の廃止等により、可処分所得の減少が続いている。景気はいざなぎ越えと言うが、実感はほとんどない」などと現状を分析。そのうえで、今季交渉の考え方について、「統一賃上げ闘争を中心に据え、その脇でパートの処遇やサービス残業撲滅など働き方の問題に取り組む。春闘終焉と言われるが、統一賃上げ闘争は年一回のけじめ。ストライキ、三六協定破棄も辞さない覚悟で臨む」などと主張した。

そのうえで、闘争体制について落合会長は、「JC(金属労協)システムに乗ればマイナスの相乗作用を生むと揶揄されるなか、大事なのは我々が主体的に要求し、主体的に解決を図ることだ」と指摘。「自動車、電機を横にらみにしつつ、腹に落ちる主体的な要求、解決を重ねることで、産別自決の体制が整ってゆく」などと述べ、民間最大産別として主体的に社会的な水準形成に取り組む考えを強調した。

業種ごとに要求の独自設定認める

中央委員会では、闘争方針として「賃金体系(カーブ)維持原資プラス物価上昇分、生活向上分として組合員一人平均1%以上」「カーブ維持原資の社会的水準(中小共闘4,500円)、物価上昇分、生活向上分を加味して一人平均7,000円以上」――の要求基準を「平均的な基調」として確認。一方、業種ごとの情勢を踏まえて、繊維、化学、流通、フード・サービス、生活・総合産業、地方――の6部会ごとに要求を独自に設定することを認める。

臨時・パートタイム労働者の賃上げ要求基準については、昨年に続き「職務が同じ」場合は「正社員と同率の要求」(職務も人材活用の仕組み・運用等が同じなら3%、30円以上)、「職務が違う」場合は「均衡を考慮して正社員に準じた要求」とすることを原則にする。また、パートタイム労働者の最低賃金として、正社員に適用される18歳最賃の時間換算額(最低でも法定最賃の110%以上)で協定をめざすことなども決定した。

なお中央委員会では、百貨店、スーパー等を組織するサービス・流通連合(JSD)と進めている、産別統合の協議について、今秋予定していた、現在設置している推進委員会から準備委員会への切換えを、1年先送りすることなども報告された。統合の基本事項となる、選挙・政治活動、会費、名称等の問題をめぐり、両者で理解を深めるための時間が必要なためなどと説明している。