賃金改善分2,500円と合わせて7,000円以上の要求で/JAM春闘方針案

(調査・解析部)

[労使]

機械・金属関係の中小労組を中心に構成するJAM(小出幸男会長、40万人)は12月4、5の両日、静岡県熱海市で春季生活闘争中央討論集会を開き、賃金構造維持分以外の賃金改善分を2,500円以上、また賃金カーブの算定が困難な組合は連合の中小共闘の方針に準じた7,000円以上を要求することを柱とする方針案を固めた。

賃金改善分2,500円は、昨年の2,000円以上の要求をベースに、消費者物価上昇率と格差是正分の500円を加味したもの。賃金カーブの算定が困難な組合の要求基準7,000円は、体系維持分4,500円+物価上昇分1,500円+格差是正分1,000円という内訳だ。物価上昇分も加味したうえで、可処分所得の向上、賃金体系の是正、企業間・規模間企業間格差の縮小、配分の歪み是正につなげるための要求設定になっている。

冒頭の挨拶で小出会長は、「JAMは連合の中小共闘立ち上げ以来、連合の中で主要な役割を担ってきた。今年もその役割を強く認識し、賃金の底上げに加え、未組織の労働者に一定の影響を与える社会的な役割も担っていきたい」と述べ、加盟単組の奮起を促した。

JAMでは、約25万人分の賃金実態調査のサンプルを用いた賃金プロット図を作成。これを活用して、各単組が他社の賃金水準と比較・分析できる資料を提供してきている。こうした調査に基づいたプロット図やデータを加盟単組に示すことにより、賃金制度の整っていない中小労組にも賃金構造維持の考えが浸透。調査結果をもとに賃金構造維持分として4,500円の水準を設定し、この水準が連合・中小共闘でも活用されている。

また、特別報告として、厚生労働省労働政策審議会・労働条件分科会委員の小山正樹副書記長が「労働時間法制の見直し動向」について報告。小山氏は、長時間労働による過労死・過労自殺やメンタルヘルス不調者の増大と長時間労働が仕事と生活の調和を阻害している現実の中で、「労働基準法第32条、第36条などの適用を除外する新しい制度の導入には断固として反対していかなければならない」と述べ、運動の盛り上げを訴えた。