昨年以上の賃金改善、パート時給15円増・千円目安に/連合07闘争方針

(調査・解析部)

[労使]

連合は7日に開いた中央委員会で、賃金カーブ維持分と物価上昇分を確保したうえで、ベースアップ、格差是正などによって「昨年を上回る賃金改善を行う」ことなどを柱とする2007春季生活闘争方針を決めた。また、07闘争から重点課題に追加したパートタイマーの処遇改善の取り組みの中で、時間給の改善に向けた要求目安として、絶対額を1,000円程度、上げ幅で15円程度とすることを提起した。

「ストップ格差社会」、均等待遇と公正配分の追求

中央委員会では07闘争のスローガンを「ストップ 格差社会!均等待遇・公正配分へ反転させよう」とすることを確認した。冒頭の挨拶で高木剛会長は、「格差社会の是正が急務」と強調。企業収益が史上最高を更新する中で、「労働分配率は低下を続けており、付加価値の配分も大きな歪み抱えたまま悪化している」としたうえで、「企業の支払能力はわれわれの要求に十分応えられる。07闘争の経済的な環境はこのうえなくよい」として、構成組織に積極的な要求設定と交渉展開を要請した。

この日決めた闘争方針では、 (1) 賃金改善 (2) 中小企業やパートタイマーなどの所得の底上げ (3) 総実労働時間短縮の強化――を柱に据えている。賃金面では実質GDPの伸びが1%強となっていることから、基本的な考え方として「実質1%以上の成果配分を通じて労働分配率の改善を行う」と主張。そのうえで、物価上昇分を要求に盛り込む考え方を打ち出しており、すべての組合が取り組む4つのミニマム要求課題の第一に、「『賃金カーブ維持分』と『物価上昇分』を確保したうえで、賃金改善に取り組む」ことを置いた。物価については連合総研の推計をもとに、0.6%程度とみている。ミニマム課題としてはこのほか、「規模間格差の是正や男女間等の均等待遇の実現」「全従業員対象の企業内最低賃金を協定化」「長時間労働の削減に向けて、労働時間管理の協定化と36協定の総点検運動、割り増し率が法定割増率と同水準の組合はその引き上げ」を盛り込んでいる。

パートの処遇改善を強化―社会的なメッセージ・インパクトとして

07闘争でとくに強化するのが、パートタイム労働者等の均等待遇・処遇改善。昨年から設置したパート共闘会議では、時間給改善の目安を絶対額1,000円程度、上げ幅で15円程度と設定した。高木会長は挨拶のなかで、「大変厳しい水準だが未組織などパートへのアピール効果や社会的インパクトを強める連合のメツセージである」と説明。昨年の要求目安は時給10円以上の引き上げだった。また「正社員転換制度の導入」「正社員と一体的な人事処遇制度」のほか、働き方に関係なく適用される休日・休暇制度、60歳以降の雇用制度といった例を示して、パート労働者等の処遇改善を積極的に進めるよう求めている。

また、労働時間の短縮に向けては、恒常的な労働時間を削減するため、連合が目標に掲げる時間外50%、休日100%の実現に努めつつも、当面は「すべての組合が時間外割増率30%、休日割増率40%の達成をめざす」としている。