非典型労働者の正社員化などを意見交換/連合・日本経団連の首脳懇談会

(調査・解析部)

[労使]

連合と日本経団連は24日、東京・大手町の経団連会館で首脳懇談会を開き、非典型労働者の増加問題やワーク・ライフ・バランスの実現などについて意見交換した。両組織の首脳懇談会は、御手洗冨士夫キヤノン会長が今年5月、日本経団連会長に就任してから初めてのこと。

連合の高木会長は冒頭、パートタイマーや派遣・請負労働者などの非典型労働者が増え続けている実態を「最大の問題だ」と強調。「非典型労働者は、全労働者の3分の1を超え、働く女性の5割以上になっている。総じて低賃金で、所得格差の拡大をもたらしているし、社会保険の非適用問題も指摘されている」などと説明した。さらに、「フリーターと呼ばれる人たちも圧倒的に非典型労働者であり、その多くは正社員雇用を求めているにもかかわらず、やむをえず非典型労働者になる人が大半だ」と言及し、非典型労働者の正社員への登用などによる雇用環境の改善を強く求めた。

これに対し、日本経団連の御手洗会長は「企業が積極的に(正社員の採用に)取り組むことが望ましいし、近年、そのような方向で取り組んでいる。ただ、採用だけを増やせばよいということだけではなく、家庭、教育、行政の場などで総合的な取り組みも必要だ」との認識を示した。また、経団連側からは、「200万を超えるフリーターのなかには、過去10年程の就職氷河期の人など、かなりの資質を持つ人もいる。人物本位の採用を、企業がそれぞれの事情に応じて促進すべきだ」などの前向きな発言もあった。

一方、ワーク・ライフ・バランスでは連合側が、非典型労働者の増加に伴う正社員の負担増が労働時間の長短二極化をもたらし、メンタルヘルス不全者の増加や過労死・過労自殺といった深刻な問題を引き起こしていることを指摘したうえで、「長時間労働が非常に大きなネックになっており、その是正が喫緊の課題だ」と強調。労働時間の規制を外す自律的労働時間制度についても、「長時間労働を助長することになりかねない」と懸念を表明した。

御手洗会長は「ワーク・ライフ・バランスは、多様化しているニーズにいかに応えるかが必要であり、労働時間短縮だけの問題ではない」と反論。「自律型労働時間制度は、自分で仕事の裁量ができる層を考えている」と述べた。

また、経営側からはこの問題を春闘に絡めて、「賃上げ一辺倒ではなく、多様な働き方を含めたことを労使で話し合うべき。働き方の選択肢として、労働時間の長短によって賃金が決定する時代ではなく、職務・成果に応じた体系の導入が必要だ」などの発言があった。

御手洗会長も、職務や役割に応じた賃金制度に移行していくべきとの考えを示している。