「月例賃金改善」の考え方の再構築を/連合中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

連合は1日に中央委員会を開き、2006春季生活闘争の中間まとめと今年度の重点政策を確認するとともに、「06~07年組織拡大」の第1期集計を報告した。高木剛会長はあいさつで、今季交渉の結果について「久し振りに賃金引上げ額をプラスに反転させた点で評価し合える」と述べたうえで、来季に向けた課題として、「成果配分としての月例賃金改善の考え方を再構築する必要がある」と問題提起した。

連合が4月末で集計した昨年と比較可能な2,673組合の賃上げ回答は、5,514円、1.87%で、前年比446円増(0.14ポイント増)。うち定昇相当分などを除いた「賃金改善分」を把握できる825組合の賃上げ額は、単純平均で942円となっている。また、連合が今季交渉で闘争の軸に位置づけた「中小共闘」と「パート共闘」の4月末の集約状況によると、300人未満の定昇込みの平均賃上げ集計で、前年比333円増(0.13ポイント増)の4,387円(1.76%)、パート労働者の時給引上げ額は妥結した174組合の単純平均で12.4円となっている。

この結果を踏まえて報告された春季生活闘争の中間まとめでは、今季交渉について「月例賃金改善に対する強い拒否反応が見られ、交渉が難航したが、ねばり強い交渉の結果、相当数の組合が『賃金改善分』を獲得した。経営側が、個別企業の論理に埋没し、賃金の社会性に対する認識が希薄化していることは問題である」と指摘。「経済社会の安定的な発展には社会的に公正な賃金決定が不可欠であり、産業・企業の労使が企業の社会的責任を自覚し、答えを出すべきことを強く訴えていく必要がある」と強調している。

そのうえで、07年闘争に向けては、「当面、『格差拡大阻止、二極化是正』に的を絞り、メリハリのある闘争を組織する」として、マクロの配分のあり方や底上げのあり方について、「社会的メッセージを発していく」と主張。また、個別交渉で「賃金改善」のあり方について、多種多様な考え方が出てきていることなどを踏まえて、「賃金改善」の概念について、「一定の整理を行う」との方向性を示した。

昨年10月の定期大会で決めた向こう2年間で「60万人(うちパート等12万人)+α」の目標を掲げた組織拡大計画の第1期集計が発表され、今年3月末までの半年間で7万5,211人を組織化した。計画に占める達成率は12.5%と、組織化のペースは遅いものの、組織拡大の重点的なターゲットに位置づけているパート・契約・派遣労働者が、その5割強を占める4万725人に達している。このため高木会長は、パート共闘に参加する構成組織を中心に、「なお一層の組織化努力を積み重ねていただきたい」と呼びかけた。