中小、パートとも妥結額が前年上回る/連合報告

(調査・解析部)

[労使]

連合は06春季生活闘争の柱に掲げている「大手と中小の格差改善」「パートの処遇改善」の交渉状況を情報交換する中小・パート共闘情勢報告交流会を3月31日に都内で開催した。景気回復の追い風もあり、中小やパートの賃上げも前年実績を上回る結果を引き出している。中小などの多くの交渉がこれから本格化するため、高木剛会長は「中小・パート共闘は格差問題に一石を投じた。これからが正念場となる」と激励した。

300人未満で前年比0.18ポイント増の4,782円

交流会では、中小共闘・パート共闘に参加する産別組織や地方連合会からこれまでの交渉状況について報告があった。中小共闘関係(参加30産別)では、3月30日までの交渉結果について、24産別より報告があり、妥結した756組合(組合員300人未満)の単純平均(定昇含む平均賃上げ)は4,782円で前年比1.88%増(加重平均4,819円、1.88%増)となった。同一組合による昨年実績との比較では、単純平均で456円、0.18ポイントの増加となっている(加重平均406円、0.16ポイント増)。

獲得額の分布をみると妥結組合の55.9%で、中小共闘が定昇制度のない組合向けに目安として示した4,500円の賃金カーブ確保相当分以上を獲得。カーブ確保以上を獲得した組合が昨年同期を12.9ポイント上回っている。また、全体集計では定昇相当以上の賃金改善分として977円を獲得している。こうした実績を踏まえ、中小共闘は同日、妥結基準として (1) 賃金カーブの算定が可能な組合は1,000円以上の上積み (2) 賃金カーブの算定が困難な組合は5,000円以上を獲得する――ことを申し合わせた。昨年同様に4月上旬はこの基準を目安に交渉を進め、交渉がまとまらない場合は、4月中旬以降に示す妥結ミニマム基準を歯止めに交渉を追い込む考えだ。

パート賃上げ97組合平均で12.8円

連合の今季闘争で初めて立ち上げられたパート共闘の交渉状況も報告され、時給の改善をみると、3月30日現在で引き上げ要求した223組合のうち97組合が妥結し、引き上げ額の単純平均は12.8円になっている。データが異なるため同一組合との比較はできないが、昨年3月29日時点でパートの賃上げを獲得した62組合の10.6円(単純平均)を上回っている。

今季交渉では共闘に参加した13産別が具体的なパート処遇改善要求を提出。時給引上げについては、「時間当たり賃金を1%または10円以上引き上げる」を目安に要求を提出した。ただし、同共闘では処遇改善の最終的なゴールを「合理的理由のない格差の排除、均等・均衡待遇の実現」に置いているため、一時金・退職金制度の整備、年次有給休暇の付与日数見直し、雇用転換制度の導入、育児・介護短時間勤務制度の導入の整備、60歳以降の雇用制度の導入―といった多様な回答も引き出している。このため、同会議座長の桜田高明サービス・流通連合会長は「積極的な情報開示と構成組織間の情報交換が運動をさらに推進するきっかけになる」と述べ、継続的な取り組みの重要性を強調した。