統一闘争の歪みが鮮明に/電機連合

(調査・解析部)

[労使]

統一要求・統一回答が鉄則の電機春闘。電機連合では、今春闘での統一闘争を離脱した三洋電機を除く16中央闘争組合が定期昇給分を除く賃金改善分として2,000円を要求した。13日にはストライキの回避基準を1,000円にすることを口頭確認して、大詰めの交渉に臨んだ。

しかし、企業業績が大きくばらつくなかでの統一闘争は、牽引役であるはずの日立が、ハードディスクや薄型パネルなどの不振事業を抱えて相場形成に動けず、最終局面までリード役なき交渉を余儀なくされた。その結果、集中回答日には富士通と富士通ゼネラルが1,000円で妥結。富士通系2社がスト回避基準どおりで決着した以外、他の企業では回答を500円に揃える格好で提示し、決着した。

電機連合では回答が歯止め基準に達しない場合、ストを打つことが基本。だが、交渉内容をみれば、5年ぶりに有額回答が提示されていることに加え、不妊治療のための休暇制度の確立などの労働協約関係の回答も多くの組合で引き出している。中村正武代表は、「悩みに悩んだ末、断腸の思い、苦渋の選択で回答結果を集約せざるをえないと判断した」と苦しい胸の内を吐露した。また、今春闘では、久々の賃上げ要求が結果的には、電機の統一闘争の歪みを鮮明にした。中村代表は、「統一要求のあり方、統一闘争組織のあり方について議論を早急に進めていきたい」と語った。