春闘めぐり意見交換/連合・日本経団連の首脳懇談会

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)と日本経団連(奥田碩会長)は11日、都内で首脳懇談会を開き、06年春闘について意見交換を行い、06年春闘の議論が実質的にスタートした。

懇談では、連合側が「製造業を含めて業績が回復している。短期的な業績は一時金で還元するとの考え方は否定しないが、働く者の生活の基本は月例賃金にある。適切な業績があった場合、月例賃金への還元はあってしかるべきだ」と主張。企業業績の向上に貢献した分を月給に反映させるよう訴えた。

これに対し、日本経団連側は「個別性が高まっており、横並びでの賃金水準を底上げする横並びベースアップは今後ありえない」として横並びのベアに強く抵抗。そのうえで、「業績を回復する企業が増えているので、賃上げ要求する組合も多くなるだろうが、個別労使で十分話し合って解決してほしい」として、各企業の支払い能力に応じた賃上げ要求には一定の理解を示した。

さらに、日本経団連側は「普通の人が職務を大切にして、まじめに働いていることが企業を引っ張っている。成果主義の行き過ぎで一部の優秀な人だけが評価されるのはよくない。現場力の回復やコンプライアンスの徹底のためには普通の人が最も大切であることを改めて認識していきたい」と強調した。業績回復を背景に組合が定昇相当分以外の賃上げの気運を高めるなか、横並びの賃上げを警戒しつつも、業績が拡大した企業では普通の労働者に報いることが必要との認識を示した格好だ。

この他、連合側からは「中小企業では仕事量が増加しているにもかかわらず、単価が据え置かれ、昨年は単組の7割超が賃金体系を維持できなかった。賃金カーブを確保したうえで、格差是正に取り組みたい」などの発言があった。日本経団連側からは、「エレクトロニクス産業は国際競争力を念頭に置きつつ、従業員の処遇や賃金などを考える必要がある」などの指摘があった。