自動車総連も「賃金改善分」を要求/中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(組合員数約70万人)は12日、横浜市内で中央委員会を開き、今春闘にのぞむ2006年総合生活改善の取り組み方針を確認した。要求基準に「賃金改善分を設定することを基本とする」と盛り込み、昨年以上に賃金のベースアップ(ベア)なども含めた賃金改善に取り組む姿勢を強く打ち出した。同方針をうけ、自動車総連傘下の大手自動車メーカー労組では、ほとんどが賃金改善分の要求に踏み切る見込みだ。

賃金改善に取り組む姿勢、一層強く

自動車総連の具体的な要求基準は、「平均賃上げ」と「個別ポイント絶対水準要求」の並列による2本建て。平均賃上げでは、「賃金カーブ維持分+賃金改善分」と表記し、「賃金カーブ維持分確保を大前提とし、各組合は格差・体系是正や水準向上に向け、賃金改善分を設定することを基本とする」とした。賃金改善分を要求できる組合については積極的に設定する、とのニュアンスだった昨年方針と比べると、賃金改善に取り組む姿勢を、一層強く滲ませた形。ただ、賃金改善分として統一的な金額は示さず、同部分の設定は各単組が独自に設定するようにした。

個別ポイント絶対水準要求では、「技能職中堅労働者(中堅技能職)」を共通の銘柄として、各単組が絶対額で要求する。

経営側は組合員に投資を

中央委員会であいさつした加藤裕治・自動車総連会長は「この決断の背景には、マクロ環境の好転と、(各企業の)業績好調の維持があり、これをもたらしたのは、組合員の血の滲むような努力だ。2006年は高い労働の質によって、成果をあげてきた組合員(人)に投資してほしいと(経営側に)訴え、自動車総連が全体として歩調を合わせて月例賃金の改善に取り組む年だ」と強調した。

昨年の春闘では自動車総連全体(約1200組合)で、643組合が賃金改善を要求し、202組合が獲得した。自動車総連では「今年は要求組合が1000組合にどれだけ近づけるか、期待している」(加藤会長)としている。

大手メーカーは2月15日に一斉に要求を提出し、金属労協が設定した3月15日の集中回答日に向けて、交渉を追い込む。